この世の何処かに『地獄(ヘル)()(ゲート)』と呼ばれるものがある。その『地獄(ヘル)()(ゲート)』は何処かに繋がっていてその中から『悪魔』と呼ばれる化け物が出てきては人々の生活を脅かしていた。
そんな中悪魔を狩るのを仕事とする『悪魔(デビル)狩人(ハンター)』と呼ばれる職業が生まれた。
この物語は人々を恐怖に陥れる悪魔も恐れる男の物語。

神威(カムイ)
悪魔のせいで廃れたとある町。
そこの裏路地をちょっと言ったところに『Doragnar(ドラグナー)』と書かれてある看板がぶら下がっている店がある。
その中に一人の男がいる。年は20代くらい黒いロングコートに黒いジャケットそして黒いパンツ。全身を真っ黒にコーディネートしている。
ただ不釣合いなまでに明るい目元に少し掛かるくらいの金の短髪が目立ち、琥珀色の目を窓の外に向け『Marlboro(マルボロ)』を加えながら無気力そうにイスにもたれ掛かっていた。


彼の名はカムイ。

金さえ払えばなんでもやる『便利屋』兼『悪魔(デビル)狩人(ハンター)』である。
ちなみに本職は『悪魔(デビル)狩人(ハンター)』。便利屋は本人曰く『食いっぱくれないようにする為』らしい。
そんな時ジリリリリと黒電話が着信を告げる。
「『Doragnar(ドラグナー)』。……マルゲリータ3枚?悪いがここはピザ屋じゃねぇ。出直しな。」

そう言って黒電話の受話器を投げ置く。
「つまらねぇな。なんか心躍るような事はねぇもんかな。」
煙草を加えながら空を眺め続ける。
そのとき店の扉が開く気配がする。
「随分と暇そうじゃないかカムイ。」
白いスーツに白いネクタイ。白いパンツ。カムイとは正反対の格好をした男が入ってくる。
「こりゃ珍しい客だな。アデル=クーリッジ」

アデル=クーリッジ。
彼の職業は『仲介屋』。
カムイの様な『便利屋』、『悪魔(デビル)狩人(ハンター)』などと『依頼(クライ)(アント)』を繋げる人間。カムイなどに仕事を持ってくる。

「なんだ?liveの開催でもしに来たか?」
「そうだ」
アデルはカムイのおどけた口調とは反対に真剣な口調で言った。
「ほう……話でも聞こうか。」





アデルの話によると町外れの廃工場に悪魔が住み着いていてそれを排除してほしいとの事。
「なるほとねぇ……で値は?」
「100万だそうだ」
「200万」
「無理だな。依頼(クライ)(アント)は100万が限界だそうだ。」
「しゃあねぇ。150でいいぜ?」
「話を聞いていなかったのか依頼(クライ)(アント)は……」
「残りの50はお前が出すんだよ」
「……仕方あるまい。私が50万払おう。」
やれやれと言った感じに肩をすくめる。
「交渉成立だな。」



―――その日の夜―――

ギターケースを背負いカムイは廃工場の前に立っていた。
「♪〜。随分と不気味な雰囲気かもし出してるじゃないの。」
大して恐れもなく口笛を吹きながら意気揚々と廃工場の中に入っていく。

「とりあえず言ってみるか……。お邪魔します。」

無論返事など返ってくる訳もなく。
「けっ。出迎えなしかよ。出迎えあっても罰はあたらねぇだろ」
そんなことをぼやきながら歩みをつずけると……
「グルルル……」
犬のようで犬でないモノが現れる。これが『悪魔』。カムイは持っていたギターケースを地面に置く。
「とりあえず言っとくか。こんばんは。」
その言葉を聞くや否、犬型の悪魔がカムイに襲い掛かる。その瞬間廃工場に響き渡る銃声。
「悪ぃな。俺のliveは全席指定なんだよ。悪魔だろうと従ってもらうぜ?って聞いちゃいねぇか。」
襲い掛かろうとした犬型悪魔は地に崩れ落ち物言わぬ肉塊になる。
カムイの両手には黒と白の対なる銃があった。
「今日も調子いいじゃねぇの。ブラドー。ファクター。」
黒い方が『ブラドー』白い方が『ファクター』。カムイお手製の礼装銃である。
礼装とは対悪魔武器の総称で『ブラドー』と『ファクター』は銃の悪魔武器ということになる。
先ほどの銃声を聞いてか犬型悪魔があちらこちらから現れてカムイを囲む。
その数100体。
「♪〜。楽しめそうじゃねぇか。it,s Show time!!」
その言葉とカムイは駆ける。前後左右から襲い掛かる悪魔たち
「Take it easy. Ha!」
その言葉と同時に襲い掛かる悪魔達に銃弾を撃ち込む。しかし悪魔たちはひるむ事無く前進してくる。
「さてと久々に”アレ”でもやるか。」
悪魔にではなく廃工場の柱などに向かい銃弾を発射する。
そんなのはお構いなしに悪魔たちはカムイに飛び掛る。
反射弾(リフレクトショット)。久しぶりにやったっが腕は落ちてねぇな」
先ほど撃った弾は柱から柱へと反射し最終的に悪魔の体を貫いた。
まだまだ悪魔は居るというのにこの男に恐怖はない。
いやむしろ余裕すら感じられる。
「まぁせっかくのPartyだ、派手に楽しんでけよ」
その言葉と共にカムイは悪魔の群れに突っ込んでいった。




気づけばあたりには肉塊が散乱している。この『肉塊』はつい先ほどまで悪魔と恐れられ人々に恐怖を与えていた存在だった。
しかし悪魔たちは一人の男によって見るも無残な姿に変わったのだ。その男こそがカムイ。
最後の一体に銃弾を打ち込むカムイ。
「Rest in peace…成仏しなよ。」
その言葉と共にいに犬型の悪魔は崩れ落ちる。
「随分と楽な戦いだったぜ。」
そう言って犬型悪魔と戦う前に置いておいたギターケースを担ぐ。
「しかし。今日は月が綺麗なもんだ。」
廃工場の崩れた天井から見える月を眺めるカムイ。
「おやおや。やっと親玉のお出ましか。」
崩れた天井の一部にから覗く巨大なものがやってくる。
「お前が親玉か。さてとこれで終わりとさせてもらうぜ?」
鳥形の悪魔『アトバラナ』は叫び声を上げる。
「意気込んでる所悪いが。飛ばれると厄介なんでね。片方、撃ち抜かせてもらう」
その言葉と同時に『ブラドー』と『ファクター』が火を噴く。次々と打ち込まれれる弾丸にアトバラナは悲鳴を上げ右翼は蜂の巣になった。。
「さてと……」
ギターケースを開く。
中に入ってるのはギター……ではなく。一本の礼装剣。その名は『ファントム』。
「銃は飽きた。ぶった斬らせてもらう。」
そう言うとファントムを構え飛翔する。
「■■■■■■■■■■■■■――!!」
咆哮するアトバラナ。
「うおっ!あぶねぇな。あんな咆哮で建物壊す気か?まぁ無駄だけどなっ!」
蜂の巣になっている右翼を切り落とす!
アトバラナから上がる悲鳴にも似た声と紫色の血。
「はっ!叫ぶなよ。悪魔らしく最後まであがいて見せろっ!」
そう言って次は左翼を切り落とす
「■■■■■■■■■■■■■――っ!!」
両翼があった場所からはとめどなく紫色の血が流れ続ける。
そしてアトバラナは崩れ落ちるように地に堕ちた。
閉幕(カーテンフォール)だ。アンコールはないぜ。」
そう言ってファントムについた血を払いギターケースにしまいその場を後にする。

工場から出るとアタッシュケースを持ったアデルがいた。

「まったく。楽な仕事もってくんじゃねぇよ。退屈だったろ。」

「ふっ。それはすまなかったな。これが今回の報酬だ。」
手にしていたケースをカムイに渡す。
「確かに。報酬は受け取った。」
ポケットの中からMarlboroを取り出し火をつける。
「ふぅ……次は金になるものをたのむぜ?」
「了解した」
短く言葉を交わすと二人は別々の方向にわかれていった



カムイ
この男に恐れるものはない。
悪魔が居なくなるその日まで彼は悪魔と戦い続ける。

END





あとがきと言う名の言い訳
まず2800Hitと言う中途半端記念おめでとうございます
今回のお題が『自らの分で最強を具現化せよ。』
で出来たのが皆さんに読んでいただいた『神威』なんですがいかがだったでしょうか?
まぁアクションものの構成がお題を聞いたときに出てきてしまったんでこんな感じになりました。落ちと言う落ちもなくまぁそれなりかな。
私個人のサブテーマとしては『スタイリッシュ』『王道』です。
雑魚倒したら親玉登場とかその辺は王道パターンにできたかなと思います。
主人公のしゃべり方が英語混じりなのは簡単です。
かっこいいから
ただそれだけの理由です。
読んでくれた人が楽しんでくれたら私としては満足です。
それではまた会う機会がありましたらお会いしましょう。
JTR