この世界の何処かに『悪魔の門(デモンズゲート)』と呼ばれるものがある。
『悪魔の門(デモンズゲート)』は何処かに繋がっていてその中から『悪魔』と呼ばれる化け物が現れてから、人々の世界は崩壊した。
悪魔達の猛威に人は恐れ、発狂し、世界は混乱の一途を辿った。そんな中、一部の人間は対抗する手段として『礼装』と総称される、悪魔に有効な武器を人々は作り上げ、悪魔への抵抗を開始する。
そして人々は彼らを希望と敬意をもって悪魔と戦う彼らを『狩人(ハンター)』と呼んだ。
第一話 それが彼らの日常だった
人里離れた森の中、そこはまさに『地獄』だった。
人ならぬモノのうめき声と人間の絶望に満ちた叫び声、そんな地獄の中に少女―ヴィネ=デカルトは居た。
(なによっ!こんなの先生から聞いてないっ!だって実習の前はここには下位の悪魔しかいないって…)
ヴィネは一人、木の陰に隠れ、実習前の教師の説明を思い出していた。
ヴィネが在学している日本の帝都にある『聖十字学園』は世界で唯一の『狩人(ハンター)』の候補生である、『狩人候補(シャスール)』達が集まる学園であった。
今日、ヴィネ達『狩人候補(シャスール)』がこの森に来たのは、下位の悪魔を討伐することによる実践訓練であった。しかし、実際に蓋を開けてみればこの地獄絵図であった。
『いやだ…死にたくない。来るな…来るな…うぁぁぁぁぁっ!』
『いや…パパ…ママ…助けっ…』
生徒達に渡されたインカム越しから聞こえるのは同級生達の断末魔の骨が砕け肉を噛み切る様な音。ヴィネはたまらず付けていたインカムを耳からはずし、地面へ投げ捨てた。
(何でこんな事に、それに『アイツ』もどっか行ってるし…あぁ…もうっ!早く逃げて先生に合流しないと…)
物陰から動こうとしたそのときである。
彼女の前に人ならざるもの悪魔が居た。
「あっ…」
ヴィネと悪魔の目が合ってしまった。
悪魔がヴィネを蹂躙しようと近づいてくる。ヴィネも必死に逃げようとするも、足が触れもつれてしまい転んでしまう。挙句には腰が抜け立てなくなってしまう。
(いや…こんなところで死にたくない。死にたくないっ!)
悪魔はまるで何かを吟味するかの様に怯えるヴィネの頬に『舌らしきモノ』を這わせる。
「ひぃっ!」
体を這う生暖かい不気味な感触に小さく悲鳴を上げる。
悪魔は満足したのかニタリと不気味に笑い、何かに満足したのかヴィネに再び『舌らしきモノ』を伸ばす。されどその本数は10本以上あった。
悪魔から伸ばされたソレはヴィネの手足を拘束し、残りはヴィネのスカートの中や、上着の中に入り込もうとしている。
「なんなのよこれ。入ってくるなぁ…」
必死に悪魔の拘束を解こうとするが拘束は緩むことなく、むしろ強まっていき、衣服の中への侵入も許してしまう。
『舌らしきモノ』を伸ばしている悪魔の口元からは涎が滴り落ち、悪魔の目元は喜色に染まっているようにも見えヴィネの恐怖心を煽ってくる。
「あっ…」
ヴィネは小さく呟いた。
悪魔の口元から垂れている涎とはまったく違う液体が地面を濡らし始めた。
その液体が流れているのが自分の下半身である事に気づくのに時間は要らなかった。
「もう、嫌…誰か…助けて…」
敵に拘束され抵抗できず、挙句の果てに恐怖の余り失禁までしてしまい、羞恥心と己の無力さにヴィネの目元に涙が滲んでいた。
その時、森に銃声が響き渡る。
その時、ヴィネの体を締め付けていた悪魔の拘束が急激に緩くなった。
「■■■■■■―!!」
悪魔の『舌らしきモノ』は風船のように弾け飛んでおり、悪魔もうめき声をあげながら悶えていた。
何が起きたのかわからないヴィネの顔の横を物凄いスピードで何かが横切り悪魔の眉間に突き刺さる。
悪魔はヴィネの目の前で崩れ落ち、ビクリビクリと体を痙攣させ、しばらくすると動かなくなる。
突然の出来事に呆然としているヴィネに近づく人影があった。
「ヴィネっ!無事かっ!」
「カイム…。あんたが…」
片手に大型拳銃を持った少年―夜城カイムは肩で息を切らしていた。
「インカムからな。色んな奴の声が聞こえてきたから必死こいて探したんだが、間に合ってよかった。」
悪魔に刺さっている剣を抜くと、拳銃を悪魔に向け二、三回引き金を引く。
地面にへたり込んでいるヴィネに自身の制服の上着を掛け、横抱きに持ち上げる。
「ちょ、ちょっと…」
「腰抜けて立てないだろ?無理すんなよ。」
そう言って気にするそぶりもせずカイムは歩き出す。
「別に、運んでくれるのはありがたいけど…その…漏らしちゃったし…」
「気にしねぇよ。んなもの、それに、お前以外『助けられなかった』んだ。あの悪魔に7割方殺されたんだ。だから少し感じさせろ『命の重さ』ってやつを」
そう言いながら、教師達が待つ場所へと歩みを進める。
友も、家族も、何かあれば一瞬で悪魔に奪い去られる、それが彼らの日常だった。
人ならぬモノのうめき声と人間の絶望に満ちた叫び声、そんな地獄の中に少女―ヴィネ=デカルトは居た。
(なによっ!こんなの先生から聞いてないっ!だって実習の前はここには下位の悪魔しかいないって…)
ヴィネは一人、木の陰に隠れ、実習前の教師の説明を思い出していた。
ヴィネが在学している日本の帝都にある『聖十字学園』は世界で唯一の『狩人(ハンター)』の候補生である、『狩人候補(シャスール)』達が集まる学園であった。
今日、ヴィネ達『狩人候補(シャスール)』がこの森に来たのは、下位の悪魔を討伐することによる実践訓練であった。しかし、実際に蓋を開けてみればこの地獄絵図であった。
『いやだ…死にたくない。来るな…来るな…うぁぁぁぁぁっ!』
『いや…パパ…ママ…助けっ…』
生徒達に渡されたインカム越しから聞こえるのは同級生達の断末魔の骨が砕け肉を噛み切る様な音。ヴィネはたまらず付けていたインカムを耳からはずし、地面へ投げ捨てた。
(何でこんな事に、それに『アイツ』もどっか行ってるし…あぁ…もうっ!早く逃げて先生に合流しないと…)
物陰から動こうとしたそのときである。
彼女の前に人ならざるもの悪魔が居た。
「あっ…」
ヴィネと悪魔の目が合ってしまった。
悪魔がヴィネを蹂躙しようと近づいてくる。ヴィネも必死に逃げようとするも、足が触れもつれてしまい転んでしまう。挙句には腰が抜け立てなくなってしまう。
(いや…こんなところで死にたくない。死にたくないっ!)
悪魔はまるで何かを吟味するかの様に怯えるヴィネの頬に『舌らしきモノ』を這わせる。
「ひぃっ!」
体を這う生暖かい不気味な感触に小さく悲鳴を上げる。
悪魔は満足したのかニタリと不気味に笑い、何かに満足したのかヴィネに再び『舌らしきモノ』を伸ばす。されどその本数は10本以上あった。
悪魔から伸ばされたソレはヴィネの手足を拘束し、残りはヴィネのスカートの中や、上着の中に入り込もうとしている。
「なんなのよこれ。入ってくるなぁ…」
必死に悪魔の拘束を解こうとするが拘束は緩むことなく、むしろ強まっていき、衣服の中への侵入も許してしまう。
『舌らしきモノ』を伸ばしている悪魔の口元からは涎が滴り落ち、悪魔の目元は喜色に染まっているようにも見えヴィネの恐怖心を煽ってくる。
「あっ…」
ヴィネは小さく呟いた。
悪魔の口元から垂れている涎とはまったく違う液体が地面を濡らし始めた。
その液体が流れているのが自分の下半身である事に気づくのに時間は要らなかった。
「もう、嫌…誰か…助けて…」
敵に拘束され抵抗できず、挙句の果てに恐怖の余り失禁までしてしまい、羞恥心と己の無力さにヴィネの目元に涙が滲んでいた。
その時、森に銃声が響き渡る。
その時、ヴィネの体を締め付けていた悪魔の拘束が急激に緩くなった。
「■■■■■■―!!」
悪魔の『舌らしきモノ』は風船のように弾け飛んでおり、悪魔もうめき声をあげながら悶えていた。
何が起きたのかわからないヴィネの顔の横を物凄いスピードで何かが横切り悪魔の眉間に突き刺さる。
悪魔はヴィネの目の前で崩れ落ち、ビクリビクリと体を痙攣させ、しばらくすると動かなくなる。
突然の出来事に呆然としているヴィネに近づく人影があった。
「ヴィネっ!無事かっ!」
「カイム…。あんたが…」
片手に大型拳銃を持った少年―夜城カイムは肩で息を切らしていた。
「インカムからな。色んな奴の声が聞こえてきたから必死こいて探したんだが、間に合ってよかった。」
悪魔に刺さっている剣を抜くと、拳銃を悪魔に向け二、三回引き金を引く。
地面にへたり込んでいるヴィネに自身の制服の上着を掛け、横抱きに持ち上げる。
「ちょ、ちょっと…」
「腰抜けて立てないだろ?無理すんなよ。」
そう言って気にするそぶりもせずカイムは歩き出す。
「別に、運んでくれるのはありがたいけど…その…漏らしちゃったし…」
「気にしねぇよ。んなもの、それに、お前以外『助けられなかった』んだ。あの悪魔に7割方殺されたんだ。だから少し感じさせろ『命の重さ』ってやつを」
そう言いながら、教師達が待つ場所へと歩みを進める。
友も、家族も、何かあれば一瞬で悪魔に奪い去られる、それが彼らの日常だった。
byJTR