親友黒猫、ジョンがそう問い返してきたが、答えはでない。それがわからんから困っとるんじゃろが。
「ん〜強いて言えば“変わりたくない”ってことかな。学校行って、テキトーに授業受けて、時々サボって、ここで日が暮れるまでお前とダベる。この生活が続けばいいなって、そう思う」
「“変わりたくない”っていうけど、変わらなくちゃいけない。常に変化しなくちゃ前には進めないよ」
ジョンが振り向き、真っ直ぐな目で諭すように語る。この目、ちょっと苦手だ。
「わかってはいるんだけどな〜」
夕日を浴びながら伸びをする。火照った体に潮風が気持ちい。しばらく黙って海を見ていた。夕日が沈み終わる。それがいつもの解散の合図。僕らは帰路についた。
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ジョンが消えてもう一週間になる。正確には『例の場所』に来なくなってから。あいつは意味のないことはしない。最初は気にしなかった、よくあることだと。しかし三日、四日、五日、カレンダーがめくれる毎に不安になった。怖くなった。あいつがいなくなることに。またひとりになることに。さっき見てきた、防波堤、あいつの特等席。赤い首輪が置いてあった。 あいつは首輪で、僕はブレスレッド。二人で決めた、友情。
「・・・ “変化”ってこれかよ?」
あいつは意味のないことはしない。つまりはそういうこと。 不思議と、涙は出なかった。でもポッカリとあなが空いた。生活に、心に。
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“一週間”の意味を考える日々。その中で目標ができた。あいつを捜すこと。んでもって、会ったら、打っ飛ばしちゃる。