第一話「とりあえず、この世界で。」
今から百余年前、世界から「雨」が消えた。今では「雨」というものを知らない若者もいる。
数年前、「空の泉」という永久機関が発明された。だが、唯一だった発明者が
何者かによって殺され、同時に「空の泉」の3つのサンプルも持ち去られていた。
発明者以外に、その「空の泉」の造り方を知るものなどいない。
この話は、「空の泉」を取り戻しに行っちゃうような、不幸にも程がある少年たちの記録である。


西暦2156年、1月10日、晴れ。
片山歳人(かたやま さいと)は朝王(あさおう)学園の8回生である。
教育は3−10の2段階で、最初の3年は基礎教育といって、次の10年で
必要な事を学ぶ。
2段目の教育は、主に「生きのこるための教育」がされる。
基本的には、基礎教育で、自分の素質を見つけて、その素質を開花させるのが目的だ。

ちなみにこの国は他の国を比べて全体的に治安が良い方だが、一部地域では
どこよりも治安が悪く、その流れ者が、時折、都会に流れてくる危険もある。
そういう者にために護身からを一通り学ぶのである。もちろん、学科の授業もある。
別に兵士になるわけでもないが、安全のため、と言われて、そういった事を学ぶ。
さらに、武器の所持も認められている。兵士ではないが。
ちなみに歳人の通う朝王学園の生徒は3000人余りで、1学年、10クラスある。
その中の8−Dに所属するのが歳人だ。
今は冬期休業中で、明日から学校が始まる。歳人は約束のため、いつもよりも早く昼食を済ませ、
家を出た。

「遅い!歳人!何やってたんだよ!」
「全く、いっつもさーくんが最後よね」
待ち合わせ場所である、朝王駅には一人の少年、三ツ矢 明日(みつや あした)と
幼なじみの少女、向谷 椿(むかいがや つばき)が、歳人をまだかまだかと待ちくたびれていた。
ちなみに椿のスリーサイズは上から・・・
「な、なに言おうとしてんのよ!」
す、すいません・・・
「何だ?どうした?」明日が不思議そうに問う
「あ、なんでもない・・よ!ゴメン(ちきしょう、作者め・・・。)」
「ま、まぁ行こうぜ」
「遅れたヤツがなに言っちゃってんのよ・・・」
「ゴメン、悪かったって!」
「まぁ、行こうぜ」明日が間に入って、二人をなだめる。
3人は駅へと向かい、電車に乗り、目的地へ向かった。
byあげ