第2話 暗闇
午後11時、人々が眠り、静まりかえった町の上空に、突如2つの黒玉が出現し、
町外れの丘陵地帯に落下した。
その玉は地面に衝突すると、まるで風のように消えてしまった。
ただ二人、少年と少女を残して。
「・・・ここが地球か」
そうつぶやいたのは、黒い髪と血の様な目を持った少年だった。
「まあ、宇宙よりはまだましだけどね♪」
少年の隣にいた少女がそう相槌を打った。
赤い髪の毛のポニーテールにした少女は、軽くため息をつくと、
「それで例の兵器が見つかった場所はこの辺だっけ?」
と少年に質問した。
「ああ、そのはずだ」
少年は、その皮肉めいた赤い目を少女に向けると答えた。
「そう。なら、じっくり探しましょう。まだ時間はあるんでしょ、レオ?」
少年―レオは、首を縦に振り、肯定した。
「まあ・・・な。にしても、俺は少し疲れた。ユナもだろう?」
ユナと呼ばれる少女は、ポニーテールを縦に揺らして
「うん。でも、レオがいくって言うんなら、一緒に行くよ♪」
と、ぴょん!と跳ねてみせた。
「わかった。じゃあ今日のところはこの辺で休むか。アレを探すのは明日にしよう」
「りょーかーい♪」
そういうと、二人の姿は闇の中へと消えていった。
その日は満月だった。
午後11時30分、地球に災危をもたらす二人の存在に気づいた者は、
誰一人としていなかった。
byキング