レオは服の後ろを跳ね上げ、背中に折り畳んでいた棒のような物を取り出す。
それは左右にふると、瞬く間に全体が2m程の鎌になった。
「消えされ!」
一閃。
鎌から無数の衝撃波が発生し、フロウを襲う。
しかし、
「はっ、そんなのでボクをヤろうっての?なめるなよ!」
フロウは棒を一振りし、全ての衝撃波を薙ぎ払う。
しかし、それが隙だった。
「くらえっ!」
何時の間にか、フロウの背部にいたユナが攻撃を仕掛けた。
不意を突かれ、バランスを崩すフロウ。
そこをレオが襲う。息の合った見事なコンビネーションである。
一方、この様子を見ていたケンジたちは震え上がってその場に固まっていた。
本当は一刻も早く逃げ出したかったが、恐怖で腰が抜けて、立つことすらできないでいた。
30分後、戦いはまだ続いていた。
(これ以上はムリかな?)
先程のレオの攻撃で傷を負ったフロウは、自分の限界を悟っていた。
(まあ、あの古代兵器はまだ作動できるほどの力はまだ無いみたいだから、
もうちょっとほっぽいても平気だね。そろそろ潮時かな?)
あくまで軽い感じが漂うフロウの思考だが、実はソートー焦っている。
「あー、キミたち?」
丁度距離をとってきたレオとユナにフロウが呼びかける。
「ボク、もう帰るから」
『はあっ?』
「キミたちが何者かは解からないけど、つぎに手ェだしたら・・・本気でヤるから!
じゃーねー☆」
フロウの声が響くと同時に、棒から放たれた白い光が辺り一帯を包み込む。
その眩しさに、咄嗟に2人は目を閉じてしまった。
2人が目を開けた時にはもう、フロウの姿は何処にもなかった。
「・・・チッ」
レオの舌打ちだけが、血まみれの発掘現場に響いた。
あれからなんとか発掘現場を脱出したケンジ御一行。
「・・・結局、あれは何だったんだろう?」
そんな中、一人トシオがぼやいた。
「俺に聞くなよ」
と、それにケンジが毒づく。
「まあ、夢と思うしかないですよね・・・」
自分に言い聞かせる様に、チヅルが気の抜けたような返事をした。
三人は、ただ呆然としながら帰路へついた。
「・・・あれは何だったんだ?」
発掘現場から少し北の林で、レオは痛む体を押さえながら、ユナに話しかけた。
「さあ・・・、でも、敵である事は間違いわね」
レオと同じく、戦いで疲労した体を休めながら、ユナは返事をした。
「・・・ユナ」
「ん?」
目を合わす2人。レオはある事を決心していた。
「他の『災危』のメンバーに集合をかけろ。[冥王竜]レオが呼んでいる・・・とな」
レオの指示は続く。
「[天王竜]ユナ。お前だったら全員に声を掛けるに行くのにどれくらいかかる?」
「えーと、3日ってとこかな」
「そうか。なら直ぐに行ってくれ。月で会おうと」
そうレオが言うと、ユナの体が黒玉に包まれ、空へと舞い上がっていく。
「じゃっ、月でね♪」
その声を残し、ユナは宇宙へと飛んでいった。
レオも、自らの体を黒玉に包み、月へと向かう。
「魔法使い、フロウ・・・必ず殺す」
そう一人呟くと、彼は地球を去った。
昂ぶる殺気を胸に秘めつつ。
第6話 終結
byキング