翌朝・・・
日の光が差し込み始めた早朝ケンジは外に出かけていた
「はぁー。」
と深い呼吸をしながらケンジはホテルの近くを散歩していた。
空には雲ひとつなく、空気も澄み切っていて気持ちいい朝である。
しばらくとぼとぼ歩いていると走ってきた一人の少年にぶつかった。
「イテッ!!」
「すんません。急いでいたもんで」
と少年は軽く謝ったと思ったらまたすぐ走ってどこかに行ってしまった。
「あんなに急いでどこ行くんだろう?こんなに朝早く。まあいっか俺には関係ないし」
と独り言を言いながらまた歩き始めた。
「にしても、髪の毛が灰色なんて。外国人かな?」
朝の散歩から帰りケンジは朝食を食べようと、ホテルの食堂へといった。
食堂ではすでにトシオたちが先に食べていた。
「おう!ケンジ遅かったな?どこ行ってたんだ?」
トシオがまだ朝だってことも忘れさせるくらいのテンションで聞いてきた。
「うーん。まあ散歩」
朝食が乗っているおぼんをテーブルに置きながら答えた。
「ケ、ケ、ケンジ君おはよう」
横からチヅルがやってきた。
「朝食一緒にいいかな?」
少し緊張しながら聞いてきた。
「いいよ」
ケンジは軽く答えた。
チヅルが横に座る。何だかそわそわしている。
「そうだ、ケンジ君今日の自由行動予定決まってる?」
「特にはない。てきとーにそこら辺当たりまわろうかと思ってたけど、なんで?」
「あ、あの今日私と・・・」
「よぉー。ケンジ!今日って自由行動だろ?一緒に回るぞ」
突然レオが話に割り込んできた。
「別にいいけど」
ケンジがあっさり答えた。
「じゃー、何処回ろうか?」
ユナが話に入ってきた。
「じゃあ、金閣寺とかどうだ?」
トシオが言った。
「平等院とかは?」
「二条城もいいんじゃない?」
話がどんどん進んでいく。
「あ、あの・・」
チヅルが一人話から外れてしまった。少ししょんぼりしている。
「あ、野崎も一緒に行く?」
ケンジが聞いてきた。チヅルは、少しビックリした表情でしかし嬉しそうにたてに一回コクリと縦に首を振った。
「そうだ、レオ君昨日の夜誰と話してたの?うちの生徒じゃなかったよね?あの灰色の髪の人」
「そいつなら、俺も見たぞ」
チヅルとケンジがレオに問う。
「なにやってるんだー、出かける準備しに行こうぜー」
向こうのほうからトシオの声が聞こえた。
「まあ誰だっていいじゃん。行こうぜ」
人には知られたくないのか流されてしまった。
京都めぐりは金閣寺から始まり二条城、平等院とさまざまなところを回った。
途中でお土産を買ったりもした。
あっという間に一日がたち夕方になってそろそろホテルに戻ろうとお土産街を歩いていたらユナが、
「あー。あれいいなー。ケンジ達先戻ってて私たちあそこによってから帰るから行こうレオ、トシオ」
ユナはそう言うと二人の手を引っ張ってお土産屋に入って行ってしまった。
仕方なくケンジとチヅルは二人でホテルに戻ることにした。
特に会話をするでもなく歩いていく。というか、チヅルはもう今にも倒れそうなくらい顔真っ赤にして話せる状況ではなかった。
(ど、どうしよー。ケンジ君と二人きりだよー)
「にしても疲れたなー」
ケンジが話しかけてきた。
「そ、そうだね」
とその瞬間チヅルの靴紐が切れてチヅルが転んだ。
「だいじょうぶ?」
ケンジが心配そうに駆け寄ってきた。
「うん。靴紐が切れちゃったみたいで。イタッ!」
転んだときにすりむいたのだろう足から血が出ている。
「歩ける?あそこに公園があるからまずは傷口洗おう」
「多分歩けると思う。イタッ。やっぱ少し無理かも」
とケンジはいきなりチヅルをおぶった。
「ケ、ケンジ君!?」
いきなりのことにチヅルはびっくりした。
公園につき水道で傷口を洗って、ケンジはさっき買った京都限定の手ぬぐいで傷口に巻いた。
「あ、ありがとう」
チヅルは赤くなりながら言った。
「さて、ホテルに戻りますか」
とケンジが立ったそのときチヅルが
「あ、あのケンジ君。その・・・」
そして深く深呼吸をしてから
「私、ケンジ君のことが好きです。大好きです。」
ケンジがポカンとした表情で立っているとチヅルは今までにないくらい顔を真っ赤にして怪我の痛みなんか忘れてしまったのかもうダッシュでどこかに走り去ってしまった。
ケンジは追いかけるでもなくただそこに立っていた。しばらくすると何を考えたのかホテルに戻っていった。他の三人に何を聞かれても無反応でそんな状態で、二日目が終わった。
第12話 告白
by鱈の子