フロウはそう言い棒を少年に向けた。
その時閃光がはしる。
「むっ」
ムスペルは咄嗟に回避行動をとるやいなや、手をかざす。
「ちと黙らせるか。」
そう言うと手から火球が高速で飛び出してくる。
「くっ」
フロウは言うと閃光で火球をかき消す。
その時ムスペルに黒い影が近づく。黒髪の男だ。
黒髪の男はムスペルの懐に飛び込みと、強烈な拳を繰り出す。
ムスペルが後方へ吹っ飛ぶ。
「ちィツ、なんなんや、お前ら」
「だから言ってるでしょう?『適格者』だって」
ムスペルの問いにフロウが答える。
「ほぉ、だがちっと静かにしててもらおうかぁぁ!」
そういうと先程の10倍はあろうかといる火球が飛び出す。
「これは・・・・やばいね・・・」
フロウたちが避ける、と、そこには巨大な火柱が立った。
「くっ、しぶといやつらや」
地面には大きな穴があいている。煙の中から人影が2つある。
「どうしたの?黙らせるんじゃなかったのかい?」
「んぁー、もう終わっちまったなぁー」
トシオが言う、眠そうだった。
ケンジ達御一行が泊まった、「ファニリハウス」の設備は悪く、
とても寝泊りできるような所ではなかったが、一応「民宿」だ。
そこでの寝心地のおかげで皆、疲れているようだった。
中でもひときわ、元気が無いのがケンジだった。
(返事・・・返事ねぇ・・・)
一人考え事をしていた。
と、そこにはチヅルの姿があった。
何をおもったか、ケンジは
「なぁ、チヅル、ちょっと・・・?」
と呼び出した。
呼び出されたチヅルはもちろん・・・
「・・・あ、あっうん!?」
慌てている、真赤だった。
そこで、ケンジが切り出す。
「この前の、・・・ことだけどさぁ」
チヅルがケンジの方を向くが、うつむく。
「そう、考えたんだけど・・・俺・・・」
ケンジが続ける。
「なんつーか、まだわかんないってゆーか」
チヅルがまたこちらを向く。
「いや、悪い意味じゃないよ?ただ、まだわからないから、ちょっと待って欲しいんだ」
「うん・・・?」
「だから、ずっと待たせるのもアレだし、言ってみたんだけど」
とても中途半端な答えだった。
それゆえ、チヅルは困惑してしまっている。
「うーん、だから、返事ができるまでは今までみたい、普通によろしくというか・・・」
「・・・うん、わかった、ありがとう」
「うん、必ず返事はするから、待っててな」
「うん」
そしてケンジがチヅルの手を取り、
「行くぞ、遅れちまう」
ケンジ達は皆の所へ合流した。
そして一行はバスで京都駅へ行く。
しばらく進むとトシオが言う。
「あれ?なんだあの煙・・・?」
前方には黒い煙が一筋。
「たき火でもやってるんじゃないのか・・・?」
とケンジが答える。
そこで、ユナとレオに言う。
「あれは・・・」
「あぁ、恐らくな、あいつだろう、だが何だ、戦闘でもしているのか・・・?」
「『火竜』が・・・?誰と・・・?」
バスは京都駅へと向かう。
第14話 進行
byあげ