「むぅ〜。いかんな・・・」
世界のどこか、潰れかけの古本屋の最奥。一人の老人が、
机に上に開いた、分厚い紫色の本を前にして唸っていた。
そこには文字ではなく映像が映し出されている。
片方にはどこかの森の中、そしてもう片方には花畑と城。
第18話 宝玉
「・・・よかろう、ミカエル様との謁見を許可しよう。
ただし、くれぐれも失礼のないようにな」
そう言い男は道をあけ、案内を付けた。
「こいつはミカエル様の秘書、ラミエル。」
「よろしくですぅ」
紹介されると、彼女は2つの三編みごとペコリと頭を下げた。
身長はケンジより頭二つ分ほど低く、フリフリのスカートに
茶色を基調としたメイド服っぽいものを着ている。
「こっ、こちらこそ、よろしく。」
ケンジはどもりつつ答えた。
「こちらですぅ」
ケンジが律儀に返事を返している間にも彼女は移動していたらしく、
無情にも廊下の奥に消えた。
「んん!?ちょwwwまてwwwおまwwwww」
ギリギリのところで追いつきまた離されを繰り返し、
ようやくひとつの部屋の前に辿り着いた。
重厚な樫の木の扉は金と緑に縁取られ、中央には何かの紋章が刻まれている。
「・・・じゃあ、私はこれでええええええええ」
急に何か怯え、逃げるようにピューっとその場から遠ざかり、秘書ラミエルは去った。
「なんだ?」
ケンジは首を捻りつつ扉をノックし、入室した。
入って正面奥に机が見え、そこに向かってエメラルドグリーンの絨毯が敷いてあり、
その両サイドには本棚が並んでいる。そんなに大きい部屋ではない。
その机で、彼の守護天使界最高権力者ミカエル女史は、
山と積まれた書類と格闘していた。
その目はあまり寝ていないのか、血走っている。
「あ、あのぅ〜」
ケンジは恐る恐る話し掛ける。
「あぁ?何だ!?コルア!!!」
ギロリと目を剥くミカエル。
「それが、あのぉ・・・生き返らせて欲しいんですけど。」
「あ?見てわかんねぇのか?今、この間にも、こうやって死人は出続けてるんだよ!」
書類を落とさんばかりに机を叩く。
「それが貴様一人のために他を抜かして、しかも蘇生なんてできるかぁ?死ぬかぁ?」
ミカエルはそう言い、ショットガンの銃口をケンジの額に当てる。
・・・もう死んでますけど。
「・・・」
沈黙の中、ケンジの視界は、机の横に転がる酒ビンを捉えていた。
どうやら、目の前のショットガンを持った天使は酔っているようだ。
そのまま数分が経ち・・・
「さて、冗談はこれくらいのしてと・・・」
やっと、アル中天使の酔いが覚めたらしい。
手にしていたショットガンをその辺にポイッと投げ捨てる。
「えぇ〜と、蘇生の件だったっけか? 名前は?」
改めて用件と名前を確認するミカエル。
「月島、月島ケンジです」
「ほう、月島・・・」
少し驚いたようにミカエルはうなずいた。
「? 何か?」
訝しがるケンジ。
「ん?いや、何でもない・・・月島、ケンジ、と」
「じゃあ手続きは済ませておいたから、あとはこの紙を渡せばラミエルが案内してくれる。」
そう言ってケンジに一枚の書類を手渡す。
「あ、ありがとうございます。」
「ん、それじゃ。」
笑顔で見送るミカエル
「あっ、はい。・・・本当に、ありがとうごさいました!」
そう言い残し、疾風のごとき速さでケンジは退室した。
「そうか、あの子が・・・」
再び静かになった部屋で、ミカエルは一人呟く。
「やっと役者が揃いましたね。」
その時、正面の扉が開き、数人の訪問者が入室してきた。
「!・・・ああ、全ては、これからだ・・・」
一瞬動揺したあと、直ぐに訪問者、というより天井を見つめて答えるミカエル。
その胸元には、銀色に輝く光の玉が揺れていた・・・。
ただし、くれぐれも失礼のないようにな」
そう言い男は道をあけ、案内を付けた。
「こいつはミカエル様の秘書、ラミエル。」
「よろしくですぅ」
紹介されると、彼女は2つの三編みごとペコリと頭を下げた。
身長はケンジより頭二つ分ほど低く、フリフリのスカートに
茶色を基調としたメイド服っぽいものを着ている。
「こっ、こちらこそ、よろしく。」
ケンジはどもりつつ答えた。
「こちらですぅ」
ケンジが律儀に返事を返している間にも彼女は移動していたらしく、
無情にも廊下の奥に消えた。
「んん!?ちょwwwまてwwwおまwwwww」
ギリギリのところで追いつきまた離されを繰り返し、
ようやくひとつの部屋の前に辿り着いた。
重厚な樫の木の扉は金と緑に縁取られ、中央には何かの紋章が刻まれている。
「・・・じゃあ、私はこれでええええええええ」
急に何か怯え、逃げるようにピューっとその場から遠ざかり、秘書ラミエルは去った。
「なんだ?」
ケンジは首を捻りつつ扉をノックし、入室した。
入って正面奥に机が見え、そこに向かってエメラルドグリーンの絨毯が敷いてあり、
その両サイドには本棚が並んでいる。そんなに大きい部屋ではない。
その机で、彼の守護天使界最高権力者ミカエル女史は、
山と積まれた書類と格闘していた。
その目はあまり寝ていないのか、血走っている。
「あ、あのぅ〜」
ケンジは恐る恐る話し掛ける。
「あぁ?何だ!?コルア!!!」
ギロリと目を剥くミカエル。
「それが、あのぉ・・・生き返らせて欲しいんですけど。」
「あ?見てわかんねぇのか?今、この間にも、こうやって死人は出続けてるんだよ!」
書類を落とさんばかりに机を叩く。
「それが貴様一人のために他を抜かして、しかも蘇生なんてできるかぁ?死ぬかぁ?」
ミカエルはそう言い、ショットガンの銃口をケンジの額に当てる。
・・・もう死んでますけど。
「・・・」
沈黙の中、ケンジの視界は、机の横に転がる酒ビンを捉えていた。
どうやら、目の前のショットガンを持った天使は酔っているようだ。
そのまま数分が経ち・・・
「さて、冗談はこれくらいのしてと・・・」
やっと、アル中天使の酔いが覚めたらしい。
手にしていたショットガンをその辺にポイッと投げ捨てる。
「えぇ〜と、蘇生の件だったっけか? 名前は?」
改めて用件と名前を確認するミカエル。
「月島、月島ケンジです」
「ほう、月島・・・」
少し驚いたようにミカエルはうなずいた。
「? 何か?」
訝しがるケンジ。
「ん?いや、何でもない・・・月島、ケンジ、と」
「じゃあ手続きは済ませておいたから、あとはこの紙を渡せばラミエルが案内してくれる。」
そう言ってケンジに一枚の書類を手渡す。
「あ、ありがとうございます。」
「ん、それじゃ。」
笑顔で見送るミカエル
「あっ、はい。・・・本当に、ありがとうごさいました!」
そう言い残し、疾風のごとき速さでケンジは退室した。
「そうか、あの子が・・・」
再び静かになった部屋で、ミカエルは一人呟く。
「やっと役者が揃いましたね。」
その時、正面の扉が開き、数人の訪問者が入室してきた。
「!・・・ああ、全ては、これからだ・・・」
一瞬動揺したあと、直ぐに訪問者、というより天井を見つめて答えるミカエル。
その胸元には、銀色に輝く光の玉が揺れていた・・・。
by図書神