「ふーん、これが光の宝玉ねぇー。」
そう言うなり、ユナはミカエルの手から光の宝玉を奪った。
「きっ、貴様!?」
光の宝玉を取られたためかミカエルは動揺した。
「貴様、裏切る気か!?あれほど私たちの計画に賛成していたのに!?」
「はぁ?何言ってんの、ばか」
そういうなり、ユナは光の宝玉を地面に叩きつけて、粉々に砕く!
「なっ・・・・・」
「ふーん、結構もろいものね」
地面に散らばった宝玉のかけらを見つめ、ユナは一人ごちた。
その横では、ミカエルほか三名の天使が顔を青くし、ユナにくってかかっていた。
「お前!なぜその光の宝玉を・・・!」
「だーかーらー、私は始めっからあんたらの計画には賛成した覚えはないの。私の心と体はずっとレオのものなんだから・・・ね!」
「おのれぇぇ!ならば、ここで死・・・!」
その瞬間、ミカエルの体が粉となった。粉になったミカエルの体は、風に吹かれて消えさった。
「な・・・なに!?今のは!」
フロウが動揺する。そこに現れたのは・・・・
「ユナ、ご苦労だったな」
「レオ!」
黒い髪、真紅の目、黒い服。間違いなくレオだった。
その後ろには、レオの部下と思われる少年少女、四人がいた。
「レオは一人、生き返ったのはいいんやけどあんまりこき使わんとーてな」
その中には、フロウによって殺されたムスペルの姿もあった。
「え・・・なんで!そいつはボクが・・・ボクが!」
「おいおい、竜人もずいぶんとなめられたものだな」
ムスペルの左にいた、茶髪の少年が毒ついた。
「そうですね。竜人の生命力と再生力のことをすっかり忘れてるみたいです」
小柄ながら、白い髪の毛の少年が相槌を打つ。
「で、お兄ちゃん?そいつらどうするの?殺す?」
レオとまったく同じ髪、目の色をした少女がレオにたずねた。
「ああ、ザコはまかせた。俺はフロウっていうのを殺る」
「ザ・・・ザコだと!?ザコかどうか試してみろ!」
トシオとアズラエルらが噴る。
「ふーん、お兄ちゃんがザコって言ったらザコじゃない?ザーコ!」
「貴様ァァァ!」
アズラエルが少女に攻撃をしかける・・・が。
「そんな攻撃で〔金竜〕カミーラをやれると思った?ザ・コ・サ・マ?」
少女−かミーラは腰から日本刀を抜き、正面からアズラエルを切り下ろす。
アズラエルは体を半分にされながら、なおカーミラにおそいかかる。すさまじい生命力だ。
「カーミラはん!手助けしまっせ!」
ムスペルの放った火球がアズラエルの左半分を消し去る。
「おい、リョウ!ガルム!お前らも少しゃ働け!トシオはやるなよ!」
「了承」
「わかりました!」
レオの指示をうけ〔土竜〕リョウ〔水竜〕ガルムがトシオ達に突進する。
「さーて、こっちもケリつけるか。・・・場所を移そうか!」
フロウは手の杖を振って、自分とレオを別の場所へと転移させた。
「くそぉ!なんなんだよ、あんたらは!」
トシオは鎌でカーミラの日本刀をさばきつつ、どなった。
「私たちのこと?私達はおにいちゃんの最強の部下、〔四天竜〕。あなた程度の力じゃ、勝てないよ!」
そういうなり、カーミラは日本刀を横に一閃させトシオの鎌をまっぷたつにして腹部を蹴飛ばし、トシオを気絶させた。
「カーミラ!その人は殺さないで!」
「ユナさん!・・・わかりました」
ユナはカーミラに指示し、自分の剣でアズラエルの右半身を切りさいた。
「はぁぁぁぁ!」
剣をさらにふるい、アズラエルの体を原型を残さないほどにバラバラにした。
その横では、大きい槍を持った〔水竜〕ガルムが残りの天使をくしざしにし、
〔土竜〕リョウが手に持っていた銃でその天使の頭を打ち抜いていた。
「さて・・・と。レオ方はどうなったかな?いくよ、みんな!」
ユナはレオがいると思われるほうへと走っていった。
ユナたちが戦っていた森から2kmほど離れた草原で、レオとフロウは対峙していた。
「ふふん、光の宝玉をこわされちゃったけど、ボクの力があればあんたなんて楽に殺せるよ。それをわかっていて戦うんだ」
「・・・一つ聞きたい。お前は、この前の戦闘で本気をだしていたか?」
それを聞いてフロウはため息をついた。
「まあ、本気だったねぇ。まさか君がこれ以上の力を持っているとは思っていないけど」
フロウがあきれたように返事する、が。
「ああ。そのまさか、だ」
「え・・・?」
レオの体から、すさまじいほどの力が湧き上る。
「残念だったな、俺はどうやらケンジ達と共に居る間、すかっかり甘くなっていたらしい。まったく、俺らしくないな」
そういっている間にも、レオの体からはものすごいエネルギーが発生している。
「だが、今回ばかりはその甘さを消す。全力を持ってお前を殺そう。フロウ」
「あ・・・・あ・・・・!」
レオはそういうと、背中から大鎌−オリジナル・デスサイズを取り出してかまえた。
「〔冥王竜〕の力・・・受けれみるがいい!」
「・・・、気がすんだレオ?」
まあな。ユナもお前らも、無事で何よりだ。」
戦利品の杖をまわしながら、レオはユナと〔四天竜〕をねぎらった。
「で、この後どうするの?お兄ちゃん?」
「おっと、そうだった。今回のことで解ったが、地球というところはかなり居心地がいい。お前もそう思うだろ?」
「まあね。」
「これほどの星をこれ以上汚すこともないだろう。光の宝玉は破壊したし、心配ことはもう無いしな」
レオはフロウのものだった杖をへし折り、五人に次の指令を下した。
「とりあえず今は適格者見張りだけしていればいい。お前ら四人にA,S高校への転校を命じる!」
第19話 悪魔
byキング