「いよいよ、始まるか・・・」
夕日に染まる切り立った崖の上、一人呟く影があった。
その影の眼下には、竜族と天使族の軍勢が左右に別れ地平線の彼方まで広がっている。
「隊長、そろそろ」
その影の後ろに膝をつき、具申する部下。
「・・・そうじゃな」
そう言って隊長と呼ばれた影―男は自らの掌に光球をつくりだし、
開戦直後の上空へと叩きつけた。
炸裂し発せられる青の閃光、夕日と重なり空を紫に満たす。
幻想的なその輝きに、戦士たちの時間が止まる。
だが、その光は互いの存亡を賭けた総力戦の幕開けを告げる狼煙だった。
第27話 夕焼
「現在我々は劣勢のようです!・・・いかがしますか?」
白衣の将校が焦った様子で報告を行う。
「問題ない。全てはシナリオ通りだ。」
デスクに肘をつき顔の前で手を組んでいる顎鬚にグラサンの男―天使族総司令官は
そう不敵に言い放つ。
「はぁ、問題ない・・・ですか?」
あまりの内容の返答に弱り、訊き返してしまう憐れなる将校。
「そうだ」
「・・・わかりました」
渋々了解し、指揮をとりに持ち場に引き返す将校、その背中には哀愁が漂っていた。
「天使 が派手に戦ってくれているお陰で、こちらの作戦もやり易くなってはいるが、
・・・油断せずにいこう」
火玉閃光が降り注ぐ戦乱の中、崖の陰から周囲の様子を窺っている部隊がいた。
『光の宝玉』奪取の任務を遂行するために組織された特殊部隊『暁』である。
「・・・作戦開始、幸運を祈る」
部隊長がそう宣言し各員が持ち場につく。しかし、その顔つきは険しいものだった。
「『光の宝玉』もついに我が手にきた、反撃の狼煙をあげる・・・
適格者を召集、イーリアスを発動させろ」
指令が指示を飛ばしている傍らで、『暁』部隊長は誰にも知られるきとなく事切れていた・・・。
「そろそろ片を付ける!攻撃を中央に集中させよ!!」
竜族部隊長が直接先頭に立って指示を飛ばす。
もう天使軍が落ちるのは時間の問題だった。
そう思われたその時、天使軍から何かが光速で飛び出してきた。
その正体不明の物体は真っ直ぐこちらに向かって突っ込んでくる。
「皆落ち着け、迎撃開始」
隊長が場にそぐわないくらい冷静に指示を飛ばす。
攻撃が雨あられと浴びせられるが、その軌道すら変えることができない。
やがてその物体も地面との衝突の時を迎える。
だが、衝突の寸前、物体はフワリと大地に降り立った。
『・・・』
あまりにも場違いな光景に、その場にいた何千何万の兵が一様に沈黙する。
そこにいたのは、白い包帯のようなものを纏った紫眼黒髪少女だった。
「『攻撃開始』」
部隊長と少女の声が重なる。
その声を合図に、兵士たちが一斉に攻撃仕掛ける。
だがその者たちは肉片として大地に還っていく。
そんな中一人、天使軍の方に攻撃態勢をとっている者がいた。
この混乱に乗じて、司令部を潰そうというのである。
少女はそれに気付いたが、一足遅かった。
幅200mにはなろうかという巨大な黒龍焔が天使軍司令部を飲み込んだ。
「あ・・あぁ・・・」
少女は茫然と涙を流しながら、その場に膝をついている。
「私の場所・・・みンナ・・・オトウサマ・・・・・・」
少女は呟く、失ったものを、その悲しみを。
「・・・・・イヤッ!ソンナノハ・・イヤァーーー!!!!!!」
その瞬間、少女が発光する。周りのもの全てを包み込むような光だ。
(自爆システムか!?)
「む!いかん! 皆!わしの後ろへ早く!!」
そう呼びかけ、隊長は前方の空間に黒い穴を出現させそれを壁にする。
そしてその数秒後、その大陸は焦土と化した。
「あれから20年か・・・時が経つのは早い、『光年矢の如し』じゃな・・・のう、理姫羽 ?」
「ニャー」
松吉がそう呼びかけると、黒猫が闇の中から机にトーンと跳びのって来て返事をする。
艶のある毛並みと紫の瞳が印象的な隻眼の猫だ。
窓の外、今夜は満月。静かな夜である。
白衣の将校が焦った様子で報告を行う。
「問題ない。全てはシナリオ通りだ。」
デスクに肘をつき顔の前で手を組んでいる顎鬚にグラサンの男―天使族総司令官は
そう不敵に言い放つ。
「はぁ、問題ない・・・ですか?」
あまりの内容の返答に弱り、訊き返してしまう憐れなる将校。
「そうだ」
「・・・わかりました」
渋々了解し、指揮をとりに持ち場に引き返す将校、その背中には哀愁が漂っていた。
「
・・・油断せずにいこう」
火玉閃光が降り注ぐ戦乱の中、崖の陰から周囲の様子を窺っている部隊がいた。
『光の宝玉』奪取の任務を遂行するために組織された特殊部隊『暁』である。
「・・・作戦開始、幸運を祈る」
部隊長がそう宣言し各員が持ち場につく。しかし、その顔つきは険しいものだった。
「『光の宝玉』もついに我が手にきた、反撃の狼煙をあげる・・・
適格者を召集、イーリアスを発動させろ」
指令が指示を飛ばしている傍らで、『暁』部隊長は誰にも知られるきとなく事切れていた・・・。
「そろそろ片を付ける!攻撃を中央に集中させよ!!」
竜族部隊長が直接先頭に立って指示を飛ばす。
もう天使軍が落ちるのは時間の問題だった。
そう思われたその時、天使軍から何かが光速で飛び出してきた。
その正体不明の物体は真っ直ぐこちらに向かって突っ込んでくる。
「皆落ち着け、迎撃開始」
隊長が場にそぐわないくらい冷静に指示を飛ばす。
攻撃が雨あられと浴びせられるが、その軌道すら変えることができない。
やがてその物体も地面との衝突の時を迎える。
だが、衝突の寸前、物体はフワリと大地に降り立った。
『・・・』
あまりにも場違いな光景に、その場にいた何千何万の兵が一様に沈黙する。
そこにいたのは、白い包帯のようなものを纏った紫眼黒髪少女だった。
「『攻撃開始』」
部隊長と少女の声が重なる。
その声を合図に、兵士たちが一斉に攻撃仕掛ける。
だがその者たちは肉片として大地に還っていく。
そんな中一人、天使軍の方に攻撃態勢をとっている者がいた。
この混乱に乗じて、司令部を潰そうというのである。
少女はそれに気付いたが、一足遅かった。
幅200mにはなろうかという巨大な黒龍焔が天使軍司令部を飲み込んだ。
「あ・・あぁ・・・」
少女は茫然と涙を流しながら、その場に膝をついている。
「私の場所・・・みンナ・・・オトウサマ・・・・・・」
少女は呟く、失ったものを、その悲しみを。
「・・・・・イヤッ!ソンナノハ・・イヤァーーー!!!!!!」
その瞬間、少女が発光する。周りのもの全てを包み込むような光だ。
(自爆システムか!?)
「む!いかん! 皆!わしの後ろへ早く!!」
そう呼びかけ、隊長は前方の空間に黒い穴を出現させそれを壁にする。
そしてその数秒後、その大陸は焦土と化した。
「あれから20年か・・・時が経つのは早い、『光年矢の如し』じゃな・・・のう、
「ニャー」
松吉がそう呼びかけると、黒猫が闇の中から机にトーンと跳びのって来て返事をする。
艶のある毛並みと紫の瞳が印象的な隻眼の猫だ。
窓の外、今夜は満月。静かな夜である。
あとがき
書き上がるのが大幅に遅れてしまったことに円周率より長く反省中。
大規模な戦闘描写は難しいですね。無謀でした。
途中展開を端折った部分(『暁』部隊の活躍)がございますが・・・お許し下さい。
その他、誤字脱字・構成・表現等の〜な点もご容赦を。
〜黒猫ちゃんのお名前再募集♪(並べ替え方式)〜
@りきう Aきりう Bきうり
・・・図書神がお送りいたしました。
書き上がるのが大幅に遅れてしまったことに円周率より長く反省中。
大規模な戦闘描写は難しいですね。無謀でした。
途中展開を端折った部分(『暁』部隊の活躍)がございますが・・・お許し下さい。
その他、誤字脱字・構成・表現等の〜な点もご容赦を。
〜黒猫ちゃんのお名前再募集♪(並べ替え方式)〜
@りきう Aきりう Bきうり
・・・図書神がお送りいたしました。
by図書神