第33話 宿命
「さぁ、役はそろった、ここなら何にも気を遣わずにやりあえるな・・ケンジ。」
トシオが不適に笑う。一歩一歩、歩を縮めていく・・。
「トシオ、お前、本当に天使になんかに・・」
ケンジも、意を決し、戦闘態勢をとる。
「諦めな!行くぜ!」
トシオが踏み込んだ。そこに、斬撃。
「くっ・・」
ケンジも守護零刀で攻撃を受ける。
瞬間、トシオの姿がない。
「後r・・・」
振り向くと2段階目の斬撃が飛ぶ。そう、双刃である。
これはケンジも受け止められず、後ろへ身を引く。
「逃がさねぇよッ!」
トシオがすばやく追う、横一閃。
ケンジはそれを、短刀ではなし得ない力でなぎ払う。
しかしながら、トシオの連撃は続く・・
「フフフ・・もっと・・・もっと力を・・こいつなんかには負けない力をおぉおお!」
しだいに、トシオの動きが早くなる、ケンジは受け止めるので精一杯だ。
「くッ、だめだ、だめなんだ、俺に・・守る・・力を・・・」
攻める力と、守る力・・ 矛と盾とが互いにリズムを奏でる。
・・それはとても悲しいチカラ。
受けるケンジに疲れが見え始める、と、そこへ、トシオの渾身の一閃。
ケンジは守護零刀を弾き飛ばされる。
「しまッ・・・」
遅かった、トシオの手には守護零刀。
守るための力を、守れなかった。
「これは、俺たち天使にとって重要なものなのさ、悪いがいただいていくぜ・・」
トシオが走り去る。
ケンジが力を振り絞り、その後を追う。
せめて、守ることができなかった、自分への手向けになるように・・・

「くっ!!次から次にうじゃうじゃと!!」
カーミラは、続々と出てくる『暁』二番隊を日本刀で切り刻んでいく。
「さすがに、しんどいな・・・」
リョウもその手にある銃で敵を撃ち倒していく。
「あと少しだ!あと少しで古代兵器にたどり着く!それまでふんばれ!」

「くっ・・・マズいな・・・。このままでは・・・・・っ!」
どんなに倒されても『暁』二番隊はまだいたが、それでも『暁』二番隊隊長は焦っていた。
「兵士を全滅させるわけにはいかん!俺が出る!」
そう言うと、彼はその場から消え去った。
「!! お兄ちゃん!あれ見て!」
カーミラは自分達の後方を見て、何かを発見する。
「あれは・・・ガルム!?」
傷ついて倒れているガルムを見つけ、レオは叫んだ。
急いで周囲にいた敵をなぎ払い、ガルムのもとへ急ぐ。
「ガルム!!何があったんだ!?」
レオは、ガルムを抱きかかえ問い詰める。
「・・・レオさん、すいません・・。ユナさんが奴らに・・・・っ!」
ガルムは途切れ途切れにそう言うと、気絶してしまった。
おそらく、その事を伝える為に1人で大軍と戦い、ここへ辿り着いたのだろう。
「・・・なんだって・・・・・!?」
レオは驚き、動揺した。
そこへ、『暁』二番隊隊長が現れた。
「もうお前らの好きにはさせん!ここからは俺が相手だ!」
近くにいるだけで感じる強者のオーラ。それはレオにも感じられた。
「くっ・・・!こんな時に・・・!!」
レオは焦燥し、戦闘態勢をとる。そこへ・・・・・
「お兄ちゃん、先に行って!こいつは私達が止めるっ!」
カーミラが隊長の前に立ちはだかる。
「だが・・・・っ!!」
敵の強さを感じてしまったが故に、
レオは自分以外に相手をさせるわけにはいかなかった。
「早くっ!!」
カーミラの怒鳴り声にレオは驚く。そして・・・
「・・・ああ。わかった。後は任せたぞ!!」
レオはユナを助けに先へ進む。
「行かせるかぁああああ!!!」
隊長は、先に進んで行くレオを止めようと攻撃するが、
「お前の相手は俺『達』だって言っただろ?」
リョウがその攻撃を自分の銃で受け止める。
その行動に隊長はニヤリと笑い、
「おもしろい。いいだろう、かかってこいっ!!」

それから時間が経ち、あたりは静かに時を過ごしていた。
「・・・・はは。さすがに私も疲れた・・・。」
カーミラは、疲れた声でつぶやく。
「ああ、俺もだ。こいつの相手はしんどかった・・・。」
リョウは倒れている『暁』二番隊隊長を足で小突きながら言った。
「ガルムもなんとか生きてるし、あとは・・・」
カーミラは、イーリアスがある方向を向く。
「任せたぞ、レオ・・・っ!!」
リョウはそう言って、その場に座り込んだ。
byあげ