「さぁ、役はそろった、ここなら何にも気を遣わずにやりあえるな・・ケンジ。」
トシオが不適に笑う。一歩一歩、歩を縮めていく・・。
「トシオ、お前、本当に天使になんかに・・」
ケンジも、意を決し、戦闘態勢をとる。
「諦めな!行くぜ!」
トシオが踏み込んだ。そこに、斬撃。
「くっ・・」
ケンジも守護零刀で攻撃を受ける。
瞬間、トシオの姿がない。
「後r・・・」
振り向くと2段階目の斬撃が飛ぶ。そう、双刃である。
これはケンジも受け止められず、後ろへ身を引く。
「逃がさねぇよッ!」
トシオがすばやく追う、横一閃。
ケンジはそれを、短刀ではなし得ない力でなぎ払う。
しかしながら、トシオの連撃は続く・・
「フフフ・・もっと・・・もっと力を・・こいつなんかには負けない力をおぉおお!」
しだいに、トシオの動きが早くなる、ケンジは受け止めるので精一杯だ。
「くッ、だめだ、だめなんだ、俺に・・守る・・力を・・・」
攻める力と、守る力・・ 矛と盾とが互いにリズムを奏でる。
・・それはとても悲しいチカラ。
受けるケンジに疲れが見え始める、と、そこへ、トシオの渾身の一閃。
ケンジは守護零刀を弾き飛ばされる。
「しまッ・・・」
遅かった、トシオの手には守護零刀。
守るための力を、守れなかった。
「これは、俺たち天使にとって重要なものなのさ、悪いがいただいていくぜ・・」
トシオが走り去る。
ケンジが力を振り絞り、その後を追う。
せめて、守ることができなかった、自分への手向けになるように・・・
「くっ!!次から次にうじゃうじゃと!!」
カーミラは、続々と出てくる『暁』二番隊を日本刀で切り刻んでいく。
「さすがに、しんどいな・・・」
リョウもその手にある銃で敵を撃ち倒していく。
「あと少しだ!あと少しで古代兵器にたどり着く!それまでふんばれ!」
「くっ・・・マズいな・・・。このままでは・・・・・っ!」
どんなに倒されても『暁』二番隊はまだいたが、それでも『暁』二番隊隊長は焦っていた。
「兵士を全滅させるわけにはいかん!俺が出る!」
そう言うと、彼はその場から消え去った。
「!! お兄ちゃん!あれ見て!」
カーミラは自分達の後方を見て、何かを発見する。
「あれは・・・ガルム!?」
傷ついて倒れているガルムを見つけ、レオは叫んだ。
急いで周囲にいた敵をなぎ払い、ガルムのもとへ急ぐ。
「ガルム!!何があったんだ!?」
レオは、ガルムを抱きかかえ問い詰める。
「・・・レオさん、すいません・・。ユナさんが奴らに・・・・っ!」
ガルムは途切れ途切れにそう言うと、気絶してしまった。
おそらく、その事を伝える為に1人で大軍と戦い、ここへ辿り着いたのだろう。
「・・・なんだって・・・・・!?」
レオは驚き、動揺した。
そこへ、『暁』二番隊隊長が現れた。
「もうお前らの好きにはさせん!ここからは俺が相手だ!」
近くにいるだけで感じる強者のオーラ。それはレオにも感じられた。
「くっ・・・!こんな時に・・・!!」
レオは焦燥し、戦闘態勢をとる。そこへ・・・・・
「お兄ちゃん、先に行って!こいつは私達が止めるっ!」
カーミラが隊長の前に立ちはだかる。
「だが・・・・っ!!」
敵の強さを感じてしまったが故に、
レオは自分以外に相手をさせるわけにはいかなかった。
「早くっ!!」
カーミラの怒鳴り声にレオは驚く。そして・・・
「・・・ああ。わかった。後は任せたぞ!!」
レオはユナを助けに先へ進む。
「行かせるかぁああああ!!!」
隊長は、先に進んで行くレオを止めようと攻撃するが、
「お前の相手は俺『達』だって言っただろ?」
リョウがその攻撃を自分の銃で受け止める。
その行動に隊長はニヤリと笑い、
「おもしろい。いいだろう、かかってこいっ!!」
それから時間が経ち、あたりは静かに時を過ごしていた。
「・・・・はは。さすがに私も疲れた・・・。」
カーミラは、疲れた声でつぶやく。
「ああ、俺もだ。こいつの相手はしんどかった・・・。」
リョウは倒れている『暁』二番隊隊長を足で小突きながら言った。
「ガルムもなんとか生きてるし、あとは・・・」
カーミラは、イーリアスがある方向を向く。
「任せたぞ、レオ・・・っ!!」
リョウはそう言って、その場に座り込んだ。
第33話 宿命
byあげ