第38話 行末
今日も変わらず、青い空。ここはAS高校屋上。
心地よい風。其処にはケンジがいた。
(ふぅ・・・変わらないな・・いつもと・・)
座りながら売店やきそばパンをかじっていた。
そこへ、一人の少年が訪ねる。
「おす。」
短くあいさつを返す。
しばらくの沈黙の後、先に黙を崩したのはトシオだった。
「―――――ふぅ・・・」
ため息を一つ。
「なぁ、俺なんであんなことしてたんだろうな・・・」
トシオがケンジに語りかける。
「さぁなぁ・・・でも良かったんじゃね、別に」
ケンジはトシオを責めようともしない。
「何で!?俺はあんなことをしてたのに、別に良いのか?」
「ん・・・まぁ戻ってきたんだし、いんじゃね?」
「ん――・・・」
そこでまた会話がとぎれる。
トシオが売店で買ってきたコロッケパンを取り出す。
次に沈黙を破ったのはケンジだった。
「あぁ!!お前だったのか最後のコロッケパンを取ったのは!!」
「え?え?」
トシオがとまどう。
「くっそ、俺が3限目から目をつけてたのにっ・・・」
ケンジの首がかくんとする。
「はん、じゃあ半分交換だ。それと。」
トシオはケンジのやきそばパンを指す。
「ん?あ、これでいいのか?」
「おう、どっちにしようか迷ってたしな。」
「やっべ、サンキュ!」
ケンジはトシオからコロッケパンを受け取る。
ケンジはお返しにやきそばパンをトシオに・・・投げた。
「うわ、ちょっ・・・おまっ・・・」
ベシャ。
やきそばパンは見事に着地した。その袋を崩して。
「ケーンージー?(ゴゴゴゴゴ)返せ!俺のコロッケパンをぉぉぉぉ!」
しかしコロッケパンはケンジの腹の中、もう遅かった。
「お前・・・!」
そこへチヅルがおとずれる。
「あー、おはようケンジ訓ー♪これ、作ったんだ。好きだったよね。コロッケパン」
「「なぬっ!?」」
トシオが即座に振り返る。ケンジも後を追う。
「っはーん、いただいたぜ!愛妻弁当っ!」
トシオが奪いとる。
「まてっ、お前は、それは俺のためのっ・・・!」
「はははっ、さっきのうらみだ!」
「まて このやろう!」
「えと・・・でも二人の分ちゃんとあるよ・・・?」
「「へ?」」
――――――――――――・・・・・・・
世界は回る、まわる。僕がいなくても、君がいなくても、回り続けるだろう。
だが僕がいなければ回らない世界がある。
だが君がいなければ回らない世界がある。
少なくとも、この学園には・・・・・。
これは、少年達のはなし。どこにでもある、話。ここでしかない、話。

「どう・・・?おいしい・・・?」



「「おう!!」」
byあげ