「やぁ君達だね?国営鉄道をぶっ壊した朝王学園の生徒は?」
歳人達に近づいて来たこの男の格好は無精髭を生やし眼鏡を掛けている。
「壊したのって、さーくんだし・・・」
小声でボヤく椿。歳人は苦笑いを浮かべるしかない。
「あぁ自己紹介がまだだったね僕の名前は如月半蔵。二週間、君達の監督をする事になったからよろしくね。」
「俺は片山歳人です。」
「向谷椿です。」
「・・・三ツ矢明日です。」
人見知りが激しい為か声が小さい。しかし聞こえる範囲だ。
「三ツ矢・・・あっ!君、もしかして明月の弟君?」
「明月は俺の兄ですけど・・・」
「そうか!君だったのか!」
そう言うと半蔵は明日の肩をバンバン叩く。
「あの〜明日の兄さんとはどう言った関係で?」
「僕と三ツ矢君の兄さんと同期生なんだよ。」
「「「えぇ〜!」」」
そう言うと三人は物凄い勢いで下がると小声で話始める。
「明日、お前の兄さんって何才だっけ?」
「22才だが・・・どう見てもあの人は・・・」
「22才には見えないわよね・・・いいとこ30代前半・・・」
二人とも物凄い勢いで頷く。そんな話をしていると半蔵に呼ばれる。
「そろそろ仕事の場所に行きたいんだけどいいかな?」
そう言うと三人に背を向け歩きだす。三人も半蔵の後をついて行く。
10分も歩かない内に仕事場につく。
「やっぱり高いな・・・法律適応外危険地区境界線(アウトロウライン)」
「この壁は国が断罪の象徴として作ったものだからな・・・これぐらいではないといけないんだろうな・・・」
「半蔵さん。この壁の向うってどうなってるんですか?」
「この壁の向こうは一言で言えば地獄かな・・・数多くの罪人や浮浪者がいる。
平和と言う言葉とはほど遠く毎日のように殺し合い、弱肉強食の世界だよ・・・」
真剣な表顔をした半蔵の顔を見て黙りこむ三人。そんな中明日が口を開く。
「如月さんここでの仕事って何をするんですか?」
明日の言葉に歳人や椿も半蔵の顔を見る。
「ここでの仕事は壁の向こう(アウトロウ)からくる侵入者を捕まえる事。それだけだよ。」
「それってすごく大変な気が・・・」
「大丈夫!滅多に起きないし、来るとしても浮浪者数人ぐらいだから・・・」
「「「はっ、はぁ・・・」」」
三人共に苦笑いを浮べ壁を見上げる。しかし三人共自分達の中で渦巻く妙な胸騒ぎを消せないでいた・・・。
第四話 天と地の境界線
by満月街の住人