いきなり階段を下りてきた青年が歳人に声をかける。
「誰だ。貴様は、悪いが今コイツと大事な話を・・・」
無神が椅子から立ち上がり青年に近づこうとした時。
「おっさん。何もんか知らんけんど邪魔や、それに歳人君は連れて行くで、学園からの御達しなんでな。」
青年は手から光球を出すと無神の目の前で強い光を放つ。
「しまった!目晦ましか!」
余りの眩しさに目を手で覆う。光が治まり手を退けるとそこには歳人と青年の姿は無かった。
―同時刻
「先生!対処済みだって言ってもさーくんは・・・」
先生の言葉を聞いても不安が残る椿は大声を上げる。そんな椿を先生が諭す。
「大丈夫だ。向谷、すべてアイツが上手くやればすべてが上手くいく・・・学園始まっての天才がな」
そんな言葉に明日と椿は顔を見合わせた。
一方その頃歳人達は・・・
「こりゃたまったもんやないなぁ・・・こんだけ奇人、変人、ぎょーさん居ったら転移魔法使う時間もあらへんやんけ・・・」
歳人より前を走りながらぼやく。
「歳人君こっちや。」
歳人を青年は手招きしながら自分の後ろにいることを確認する。
ならず者たちが血眼になって捜し回っていた。
「はぁはぁ・・・もう無理限界・・・」
体力に自信がある歳人も息が完全に上がっている。
「しゃーない。あそこの廃工場みたいな建物の中に隠れるか。」
そう言うと青年は歳人をつれ廃工場の中に入って行った。
「ふ〜やっと休める。」
「なんやあの程度でバテたんかいな・・・最近の若い奴はなってないの〜」
いやあんたが体力ありすぎなんだよ・・・出かかった言葉を歳人は言わず飲み込んだ。
「そう言えばあんたの名前聞いてないんですけど・・・」
「なっ・・・歳人君!俺の名前覚えてへんのか!?」
驚いた顔をして青年は言った。
「はいまったく・・・ってかどっかで会いましたっけ?」
物凄く苦笑いを浮かべ歳人は言った。
「そんな・・・。歳人君、俺は滅茶苦茶悲しいで・・・」
滝のような涙を流しながら青年は泣き始めるが30秒後・・・
「まぁええわ!」
どっかの三流コントの様にズッコケる歳人。
「俺の名前はの・・・三ツ矢・・・三ツ矢明月。三ツ矢明日の兄貴や!」