「明月さん、ありがとうございました」
学校の帰り道、歳人は歩きながら明月に頭を下げた。
「そんなん、あやまることでもあれへん。さ、はよいこか」
「は、はい」
ちょっと恐縮しつつ、歳人は前に向き直し歩き出した。
(それにしても、俺って何であんなところに居たんだ?えーと、確かポケットの中にいてれてあったペンダント ?無いなあ?・・・まあ、それはそれでいいとして、あの玉?か、アレが光って、それから )
「・・・どないしたん?」
明月は歩を止めて立ちつくしていた歳人に声をかけた。
「いや、なんでもないっす。すいません」
(ま、いっか!)
歳人は再び前に向き、学校への道を歩き出した。
「・・・何者なんだ、あいつは・・・?」
無神は明月の仕掛けた呪縛の魔法陣を見つつうめいた。
「あれほどの魔法といい、私を欺いてまんまと脱出する行動力といい。これは厄介な奴がいたもんだ。・・・さて、どうするべきかな?」
(また、この前のガキのように始末するか?)
その言葉と共に、無神の背後から"ローブ"が現れる。
「・・・貴様か」
無神が憎たらしげに吐き捨てる。
「ああ。その様子じゃまんまと逃げられたようだな」
「ふん、あんな小僧に本気を出すほどこの無神は衰えていないわ」
「・・・負け惜しみ」
"ローブ"がぼそっとつぶやく。
当然無神に聞こえている。が、そこはアウトローの住人である。この類の悪口戯言にはなれている。
「・・・で、貴様何しに来た?まさか私をからかうだけに来た。ということはあるまい。言ってみろ」
その言葉を聞き、"ローブ"が重々しく口を開く。
「なあに、あの歳人の野郎には少々因縁があってね。あいつの始末は俺にやらせてもらう」
「・・・何?」
いぶかしみつつ、無神は聞き返した。
「もう一度、言ってみろ」
「言えと言うんなら言うがね。あいつだけはこの俺が殺してやりたいの、さ」
"ローブ"は身をひるがえし、どこかに立ち去ろうとする。が、それより早くむ神が回り込んでいた。
「・・・・」
「ともかく、歳人殺すな。あれはかなりの利用価値がある」
「ちっ、わかったよ」
"ローブ"が口惜しそうにつぶやく。
「だがな、あんたの計画にあいつが乗らなかったら、どうする?」
無神はただ一言、もらした。
「殺す」
「結局そうなるんだな。・・・無神さんよ、また出かけてくる」
"ローブ"は一瞬ギクリとしたようだった。が、すぐ何もなかったかのように振舞う。
「まあいい。殺しさえしなければいいんだろ」
「・・・恩に着とこう」
「自在にやりたまえ。貴様の手並みを見ていることしよう。・・・ところで」
「・・・?」
「珍しいな、中川 勇。貴様がそこまでこだわりを見せるとは。明日雨でも降るのではないか?」
「へたなジョークだ」
ローブの男「中川 勇」は、その場に魔法陣を書き込んで何処へと転移していった。それを見届けた後、無神もまた何処かへと姿を消した。
二人の行く先は、誰も知らない。
第15話 去る者、追う者
あとがき
ごめんなさい。また新キャラ増やしてしまいました。
本当はツンデレ全開な椿を書きたかったけど気力が沸かなくて書けませんで、うわ何をする貴様やめ(r
次の人、あとはよろしくお願いします(、と血文字で書いてある)
ごめんなさい。また新キャラ増やしてしまいました。
本当はツンデレ全開な椿を書きたかったけど気力が沸かなくて書けませんで、うわ何をする貴様やめ(r
次の人、あとはよろしくお願いします(、と血文字で書いてある)
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