暗い闇の中。3つの人影がその闇の中でたたずむ。
「くっくっくっく・・・。」
「おい、早くしないか。時間を無駄にするな。」
一人の男の上げる薄ら笑いにもう一人の男が苛立ちを見せる。
「ふぅむ・・・君にはこの素晴らしさを感じられる感性がないようだねぇ。
実に哀れで実に愚かだ。」
「そんな感性俺には要らない。重要なのはこの仕事を100%でこなすことだ。」
「これだから頭の固い人種は嫌いだ。」
「っ!!このぉ・・・」
「やめなさい。口喧嘩は後でいくらでも出来ます。それより、教授首尾の方は?」
二人の口論を一人の女が止める。
「君も頭の固い人種の一人か・・・とても残念だよ。もう終わっている。」
教授と呼ばれた男は大げさに顔を隠し臭い三文芝居のように哀れむ。もう一人の男がそれを見て先程より苛立ち、舌打ちをする。
「ならさっさと脱出するぞ。こんなゴミ屑ような所にいつまでも居るつもりは無い。」
「残念・・・実に残念だ。私の素晴らしい芸術をこの目で見れないのは。」
次の瞬間。闇の中にたたずむ人影がはじめから無かったかのように消えうせていた。
小さな部屋の中に一人の男が立っている。何をするでもなく何を考えるでもなく。ただそこに立ち続ける。ただ一つの結果を待ち。
「・・・主。ただいま戻りました。」
「戻ってきたか・・・っで結果は?」
部屋の中に3人の人影が入り、間髪を入れずに問いかける。
「くっくっくっく。我輩を誰だと思っているのかねぇぇぇ?超天才魔道士にして超天才科学者の私に失敗などという言葉があると思うのかねぇ?かみ・・・」
「悪いが、今は無神と読んでくれないか。ある少年に名乗ったのだがとても気に入ったのでな。是非そう呼んでもらいたいものだよ。教授殿?」
教授の言葉を途中で切り無神の名で呼ばせる。それを聞くなり教授は不気味なで、嘲りの意も含めるような深い笑みを浮かべる。
「んっふっふっふ・・・それは皮肉のつもりかな?まぁ、嫌いじゃない。今後はそう呼ばせてもらおうか。無神くん。」
教授の行動に堪忍袋の緒が切れたのか教授の後ろに居た男は殺気をむき出しにして、腰の剣を引き抜く。
「やめなさい。その行為に何の意味があるの?」
「もう我慢なら無い!!主に対する無礼さ!今斬らなければ気がすまん!!」
抜かれる剣と同時に隣に居た女性が止めに入るが、殺気は収まるところを知らない。
「やめないか。お前のその忠誠心は素晴らしいが、度が過ぎるぞ。」
「っ・・・申し訳・・・ありません。」
無神の一括に男は剣を納める。だが、殺気だけは決して消そうとも隠そうともせずにただ教授に向け放ち続ける。
「それでいい・・・。二人は部屋に戻って休んでいろ。私は教授と話すことがある。必要ならばまた呼ぶ。」
「解りました。」
「・・・解りました。それでは・・・(くそぉ!覚えていろ!いつかずたずたに切り刻んでやる!)」
二人が部屋を出るのを見届けると、再び教授に視線を合わせる。
「さて、教授に残ってもらったのはほかでもない。あれ・・・についてのことだ。」
「あぁ、あれか・・・修理は順調に進んでいる。もうすぐ直る。」
あれほどの殺気を受けたのに、受けた最中もそのあとの今も何も無かったかのように終始へらへらと笑い続け、受け答えを続ける。
「正確には後どれ程かかりそうかな?教授。」
「なぁに。あと1ヶ月程度で修理は終わる。」
それを聞いた無神が小さく吹く。それに対し教授の顔から余裕の笑みが消えた。
「何かね?その笑いは?」
「いえいえ、教授ともあろうお方があの程度の修理に1ヶ月掛かると聞いてつい可笑しくなったのですよ。天才と思っていた私の勘違いですかな?それならばこれほど期待はずれなことはありませんな。至極残念だ。」
その一言により、教授から余裕ではなく怒りが感じられる。
「今なんと言ったのだい?我輩が非凡な愚民どもと同列だとでも言いたいのかぁぁ!?」
教授の怒りは隠されること無くその怒号と共に吐き出される。
「いいだろう!半月だ!半月で終わらせてやろうじゃないか!そして、知るがいい!!非凡な愚民どもとの違いを!!」
言うなりすぐに身を翻し部屋を後にする。
「半月・・・か、言ってみるものだな。まさか、本当に言い切るとは・・・願っても無いことだ。」
「後半月・・・後半月で終わる。この腐った国。この腐った世界。あの忌々しい記憶と共に葬り去れる・・・。教えてやるどちらが閉じ込めているかを・・・!」
高き障壁の内に秘められた殺意と渇望。それはこの国を飲み込み。そして、歳人たちをも飲み込もうとしている。
第19話 動き出すモノ
あとがき
まぁ、いまさらだから特に言うこと無し。
珍しく2Pなのも面倒だから気にしない。もう少し書くべきでもあるだろうが・・・まぁ、それもまたいつか。次の人がつなぐだろうw
先行きわからないが・・・ね。
まぁ、いまさらだから特に言うこと無し。
珍しく2Pなのも面倒だから気にしない。もう少し書くべきでもあるだろうが・・・まぁ、それもまたいつか。次の人がつなぐだろうw
先行きわからないが・・・ね。
byハガル・ニイド