第拾七話 光
それは文字通り光の攻防

互いに顔を歪め放つ光速の射

蒼眼銀髪の少女は予期せぬ反撃に

紅髪双束の少女は限界への予感に

絶望に奪取された勝機は

まさにこの瞬間に在った

いかに光速の攻撃を繰り出し

物理法則限界までの駆動力を有しようと

同時間軸上において

二つ以上の行動を起こすことはできない

神が定めし絶対法則 戒めの鎖

互いが相殺体勢の限り

他の選択肢は許されず

故に

手数に劣るは孤軍の少女

ここに終焉の幕が降る



テロとは情報戦である。
相手の情報、こちらの状況、戦力。
それらの要素が把握されていることが前提で作戦が展開される。
故に情報が最大の武器であり、情報源が唯一の生命線。
それは戦闘中においても例外ではない。
兵士たちが常時携帯している小型通信機。
搭載されたカメラ、マイクによって得られた情報を司令部を通じて各個へと伝達するシステムだ。



普段の彼女なら気づいたろう。
既にこの部屋に在る気配が、自分と眼前の相手だけだということに。
しかし今回の戦闘は普段とは勝手が違っていた。
自分と同じ攻撃スタイルを有する迎撃者。経験のないものだった。


そう、

気づいたときには遅かった。


瞬間、
彼女の背後にあった空間が壁ごと爆ぜ、爆炎が室内に雪崩れ込む。
それと全くの同時、
逃げ場を無くすように両サイドから横殴りの銃弾の雨が降り注ぐ。
爆炎と銃弾の嵐が向かい合っていた二人へと迫る。
正面の敵機、サイドの銃弾、背後の爆撃。
迎撃できるは唯一つ。
刹那の思考。
彼女はその銀髪を翻し、迫る爆炎の壁へと向き直り、そして
己が持ち得る最大の“範囲”を以って『光の矢』を放った。

対していた紅の少女もただ黙していたわけではなかった。
反応速度こそ及ばなかったものの、
銀の少女がその身を翻した時、これだけは理解できた。
それでは無理だ、と。
思考を行動が先回りし、駆ける。
なぜそうしたかはわからない。
兵器としてのプログラムか、人間としての感情故か。
だが答えは明白だった。


想いは強い。


そうして
迫り来る死神から、少しでも遠くへと
手を伸ばす。
しかしなにを思ったか。
背を向けた銀の少女は振り向きもせずその華奢な脚を突き出してきたのだ。
その衝撃はカウンターとなり身体を吹き飛ばす。背中が壁を砕く感覚。
世界を閃光が埋め尽く中、白銀が靡く。
その蒼に写ったもの。それを見て取れぬまま、
紅の少女の意識も白く染まり霧散した。





あとがき
できたのか、できてないのか…
この状況
理解してもらえるのならば幸いです
今回は改行を大胆に使わせていただきました
その他にもいろいろと思考を凝らしてみましたが内容が上手くいったかは未だ疑問です
かいてて面白いシーンだったので個人的には満足してます
こんなに時間を頂いてしまったことですし

〆切〆切言っていても進歩がないので
己の納得に生きることにします
べ、別に反旗を翻したわけではありませんよ?
単に逆転の発想、縛られない自由にこそワタクシの貢献できるものがあるのではないかと
by図書神