私たちは一旦野営をする事になった。
真薙に助けてもらってから約2時間余り。時刻はとっくに深夜である。というか、朝のほうが近い感じだ。
向かうのは京都、ここからだとまだまだ距離があるということでいったんの休息と真薙を信じるか信じないかの考える時間をとる為の野営である。
車で八人寝るのはさすがに窮屈である。なので、車に乗せてあったテントを使うことにした。テントは割りと大きく、5人くらい寝れそうである。なので、真薙と他子供たち二人は車の中に。余った私たちはテントで寝る事にした。夜襲も考えられたので、なるべくテントと車は近づけて設置した。
「ねえ・・・。起きてる?」
平行に並んだ寝袋の真ん中で私は、みんなが起きているか確認をする。多分起きてるだろうという仮定の下に。
「・・・一応」
「ああ。起きてる」
左から二人の声が聞こえた。やはり真薙のことで眠れないのだろう。
多分体は疲れ切っている。目を閉じればコンマ何秒という世界で眠りにつく事が出来るだろう。しかし、それを許さない思考。
村松の裏切り。まあ、正確には裏切りではなく鼻から利用されていただけなのだが。それと、その息子を名乗る真薙からの救出と『ターミナル』再建の話。
「少し話があるから、外へ行かないか?」
黒乃がそう言うと立ち上がり、テントの出入り口の布を持ち上げる。
「うん」
「そうだな」
黒乃の後ろに着くようにテントから外に出る。
外はまだ暗い。夜明けまで時間があるのだろう。
「単刀直入に、あいつ、どう思う?」
あいつとは真薙のことだろう。黒乃は私たちに背中を向けながら問う。
「確かにあまり信用できるもんじゃない。京都支部の支部長ってことは『ターミナル』上層部。村松が何をやっていたか知っていた人物でもある。それに加えてその村松の息子ときた。ここではいそうですか。て信用するほうがどうかしてる」
確かに。七翔の言っていることは的を得ている。しかし・・・
「けど、私たちを助けてくれたよ?危険な場所だってわかってるはずなのに」
「それだって、また俺たちを利用するための罠かもしれない」
七翔はすかさず反論してくる。どうも、七翔は真薙のことを敵視しているようだ。
「いや、それは無いんじゃないか?」
「なんでだよ?」
「親父・・・。いや村松は、俺たちは用済みと言っていた。だから、消そうとした。それに、セレナやアルテミスも一緒に。そうなると、完全に俺たちに対する利用価値は無くなったことになる。それなのに、また助けるのはおかしいんじゃないか?」
「確かに・・・」
「だとすると、真薙は別と考えるのが妥当だと思う」
「じゃあ、黒乃はあいつを信用したって言うのか?」
七翔が少し睨みを聞かせながら黒乃に迫ってく。
「いや、信用したわけじゃない。しかし、今の状況を整理するとそう言う結論になる。だから、仲間になるってことで京都に行くのではなく。何が目的か見るために、着いていくのはどうだろう?」
「それって危険じゃない」
「いや、一回俺たちのことを助けたんだ。危害を加える気は無いだろう。どうだろう?そういうことで」
「OK。わかった。その意見に従おう。渚はどう?」
「私も賛成」
こうして、私たちは京都に向かうことにした。
私たちは真薙に京都に何の目的なのか知るために、ということで行くとを告げた。
車を走らせること、数時間。京都支部に着いた。
ここに来るまでに『ターミナル』の支部だと思われる施設の近くを通った。施設は全壊し人が生活をしていたというには程遠い、コンクリートの塊が散乱しているただのジャンク置き場になっていた。
しかし、京都支部も他の支部をどうこう言えた状態ではなかった。多分村松達の攻撃を受けたのだろう、京都支部に使われていた建物は所々崩れていた。建物の瓦礫の中には敵味方区別がつかない程の何人もの無残な死体。酷いものでは頭はおろか、体さえ人体の形を保っていなかった。
回りを立ち込める爆薬や硝煙の臭い。それに混ざって死体の焼け焦げた臭い。ついさっきまで戦闘があったのは明らかである。
「さあ、入ってくれ」
真薙に案内されたのは施設の中でも損壊の少ない部屋だった。けれど中は机や椅子なのが倒れ、めちゃくちゃになっている。
「では、なぜ君たちを助けたのか説明しよう」
そう言いながら真薙は乱雑に転がっていた椅子の一つを立ててそこに座った。
そこの空気はとても冷たかった。肌で感じる冷たさではなく。私の心がそう感じさせた場所だった。
第弐拾弐話 敵の敵は味方?
あとがき
すいませんね。
なんか滞納しちゃって。最初のほうのあのハイスピードは何処へやら。
なんか、俺にしては随分と台詞の多い話になったような気がする。けど、キニシナイ。
では、次の人がんばれや。(゜Д゜)ゝ
すいませんね。
なんか滞納しちゃって。最初のほうのあのハイスピードは何処へやら。
なんか、俺にしては随分と台詞の多い話になったような気がする。けど、キニシナイ。
では、次の人がんばれや。(゜Д゜)ゝ
by鱈の弧