「今だぁぁ!撃てぇぇ!七翔ぉぉ!」
黒乃が声を発するか否かの刹那、
待ってましたとばかりに引き鉄を引いた。
続いて鼓膜を振動させる銃声。
しかしそれが届く頃にはもう結果は出ている。
以心伝心
野郎と心が通じ合ってるなんて気持ち悪い話だが
今回はそれが武器となる。
思考となる前に実行される作戦。
経験とそれに伴う判断が生み出す業。
いくら個人の思考・行動が読めても、その流れを知ることはできない。
しかし彼らは失念していた。
「「なっ・・!!」」
それは相手が人間であることが前提の論理であり、
「甘く見てもらっては困りますよ」
目の前のソレは兵器
―戦う為に在る存在―の名を冠する者であるということを。
「言ったでしょう?心が読めると。それは何も一人に限ったことではありませんから。」
ふむ、気で強化したキックで受け流したわけか…しかし受けないわけにはいかない。
しかも読心は複数可能か。
しかし所詮は“強化”
ベースが生身であることに変わりはない。あれがいつまで続くかな?
『ABC、全狙撃班配置につきました』
モニターの横にある無線から報告が入る。
「よし、合図があるまで待機するよう」
『了解』
子供ひとりにいつまでも付き合ってられないからな。
瞬時に起き上がった黒乃と七翔の援護を背に、
今度は渚が愛用のナイフを手にして肉薄する。
「はっ!」
渚は経験、No.002は読心。
それぞれの刃、拳が交差する。
先刻黒乃に放ったものとは比較にならないほど鋭い一撃。
渚はそれをナイフで牽制しつつ紙一重で避け続ける。
が、
それももって数手。
しかしそれも互いに承知。
反応が間に合わないと踏み渚が決死のカウンターで飛び込む。
一閃、首筋の真横を薙いだ切っ先を見送り、そこに容赦なく正拳を見舞うNo,002。
そこに絶妙のタイミングで飛来するリベンジャー七翔の弾丸。
それを多少無理な体勢ではあるが蹴り飛ばしやり過ごすNo,002。
そう
このタイミング
白髪の少年―No,002はいま、大地に主軸一本のみ。
『A班撃て』
七翔の第二波―引き鉄が引かれるのと同時に号令を出す。
『続いてB班』
A班の檄鉄が下りたら次。
あとは、結果だけが大地に横たわる。
ほぼ同じでありながら僅かタイミングをズラした波状攻撃。
銃弾を受け流すほどの速度を以って繰り出される蹴撃に対する策。
個の相手の絶対的で補うことのできない弱点は手数だ。
さぁ、勝負は着いたかな?
挑戦者を右の正拳で吹き飛ばして、
A班の狙撃を左腕で薙ぎ、
残る右脚でジャンプしてB班の狙撃を躱わしたまではよかった。
問題はそのあと。
潜んでいたC班の存在。
時に、スナイパーの極度の集中力は無心に至るという。
“心が読める”という能力に頼り過ぎた奢り。
空中で四肢を貫かれる。続いて全身を打ちつける衝撃。
…負けか。
いつものことながら、
奴―真薙には驚かされる。
作戦はないとかいっていい加減かと思ったら
あの一連の狙撃。
ご丁寧にこっちの無線まで切ってやがる。
“はっはっはっ。何とかならまず味方をってやつさ”
うるせぇよ。
しかし意外だったのは、真薙は彼―No.002にトドメを刺さなかったことだ。
“僕の新たな駒にするんだ。ここで殺しりしたらもったいないだろう?”
そういって最後部の救護車に放り込んでしまった。
まったく矛盾した奴だ。そいつが回復する頃にはこの戦いは終わってるっての。
まったくもって…何がしたいんだか。
「いよいよ正念場か」
この日のためにあつらえた大口径ライフルを構えつつ一人ごちる。
敵はざっと見5000以上。
日本支部まで残り10qの地点。その数、武装、間違いなく本部隊だった。
“アルテミス君、悪いが少し派手に暴れてきてもえないかな?”
作戦―そんなもん始めからそんなもんはないが―は単純明快だ。
まずアルテミスが単騎超高速で敵の中心間まで駆け、
巨大兵器の破壊用に用意された6つの爆弾の内2つを仕掛ける。
あとはその爆発が合図。
アルテミスが中から、うちら本隊が外から一気に崩す。
俺はそのアルテミスの援護ってわけだ。
こちらの接近が捕捉されない限り出番はないが、
「気合入るぜ実際!」
グリップを握り直し集中する。
俺の後方ではクラウチング姿勢、
マイエンジェル―アルテミスが秒読みに入っていた。
爆炎を背に白銀を振り乱して妖精が踊る。
蒼の瞳が揺れ指先が流れる度、天上に向かって新たな爆炎の塔が築かれる。
ここは今宵のみ許された舞台。神話の再現。
満天の星空がスポットライト。
高く舞え、美しくも儚き姫君よ。
その凛々しい横顔に花束を。
その優雅たる旋律に喝采を。
先の戦闘においての被害は甚大。壊滅的だ。
しかし終焉は目前に在る。
決意を胸に、墓標を背に。
今一度愚者へと続く大穴を見下ろす。
「来てやったぞ、馬鹿親父」
顔を上げ今度は横。
「ああ、行こうか」
並ぶ顔ぶれ7人余り。
ふっ…頼もしい限りだな。
彼方の明け、夜空が白みつつあった。
第参拾伍話 みつめる先
あとがき
〆切破り常習犯。
最後までその愚行変わらずで・・後につづく方々
マジすんませんっ!!m(_)m
ウッス、悔い無し。
自分にしてはバトルもの、うまく書けたと思います。
前回の失敗がいきてればいいなと。
さぁ 大詰めです。
流れはここに 我らは最良を文と成す
〆切破り常習犯。
最後までその愚行変わらずで・・後につづく方々
マジすんませんっ!!m(_)m
ウッス、悔い無し。
自分にしてはバトルもの、うまく書けたと思います。
前回の失敗がいきてればいいなと。
さぁ 大詰めです。
流れはここに 我らは最良を文と成す
by図書神