「ヘカテを倒しここまできたか・・・」
親父の一言はただ冷たく凍り付いていた・・・
「同じ土俵に上がってきたぞ!糞親父!!」
第参拾八話 混沌の先へ
皆、自分が得意とする得物を構え親父と対峙する。
「満身創痍と言う訳では無さそうだな。そうだな。黒乃・・・取引をしないか?」
「取引?」
「そこにいる生物兵器四体をこちらに渡せ。そうすればお前たちは見逃してやる。」
「馬鹿か?そんな取引するわけねぇだろ。」
「やはり・・・お前たち全員には消えてもらうしかないようだな・・・」
懐から取り出したベレッタM93Rを構える。
「俺と同じ奴かよ・・・」
「銃の扱い方、格闘術をお前や渚に教えたのは誰だと思っている・・・」
凍りつく空気・・・どちらか片方が動けばその瞬間にはおそらく勝負がつくだろう。
銃を握る黒乃のじっとりと嫌な汗が滲む。
そんな時村松はニヤリと笑う・・・
「なにがおかしい!!」
「気にするな。こうして養子にした子供や自分の息子と銃を構え対峙しているのが余りにも滑稽に思えたのでな・・・」
実際はそんな事で村松が笑ったわけではない。
黒乃達は気づいていないが村松の所からだとはっきりと見えているのだ。

黒乃達に銃を構えている体がボロボロの002の姿が・・・

『敵に塩を送る』戦国時代、上杉謙信が、敵将武田信玄の領国の甲斐が塩の不足に苦しんでいるのを知り、塩を送らせた故事から敵の弱みにつけこまず、逆にその苦境から救う事を言うことわざ。
真薙はまさにそれを002にしたのである。
しかし002は一般人より回復が早い。生物兵器にされた時に能力以外に回復力も強化されたと考えるのが無難だ。まして救護車で治療など受けたら多少なり動けはする。さらにいえば死に物狂いになれば、救護車の近くにいる人間を蹴散らしたどり着く事だって可能なのかもしれない。
(ぐぅ・・・まだだ。村松様の理想郷を叶えるまで俺は死ねない!終われないんだ!)
体に巻いてある包帯が自分の血でじわりじわりと赤く染まってく。
「黒乃思わんか・・・人間のは醜いエゴの塊だと・・・私は思うのだ人間は欲を持つと手段を選ばない。国を広くしたい。女を自分の物にしたい。金がほしい。権力がほしい。莫大な富を得たい・・・私はそんな人間が嫌いなんだよ。だから圧倒的武力をもって世界を制す。そうすれば今権力を持っているものは私に怯え服従し忠実な駒になり戦争などおきない平和な理想郷ができる!そのための生物兵器!そのためのluna meet計画なのだよ!」

突如ニヤリと笑ったと思ったらいきなりペラペラ喋りだす。それに言うこと矛盾してねぇか?親父さんよぉぉ!!
「ふざけんな!あんたこそエゴの塊じゃないか!そんな力で押さえつけた世界じゃ平和なんて呼べるかよ!」
声を荒げる黒乃。
「それで多くの人間が幸せになるとしてもか?」
「はっ!そんな幸せこちらから願い下げだぜ!」
七翔が村松をにらみ言う。
「どんなに苦しくったって辛くても幸せが小さくてもわたし達は本物の幸せがほしいの」
セレネは前を見据え臆することなく言い放つ。ルナとディアナもセレネの言葉に頷く。
「生物兵器如きが何を言う!」
「彼女達は生物兵器なんかじゃない!一人の人間よ!」
村松の言葉を真っ向から否定する渚。
(一人の・・・人間・・・)
離れて聞いていた002にもその言葉は届く。
(俺も一人の人間として生きていい・・のか?)
「それに幸せと誰かに与えられるモノじゃない。自分でつかんで初めて価値があるものだと思うけど?」
言い放つアルテミス。
「ならばお前たちはこの先も争いで混沌する世界で生きると?」
「「「「「「覚悟はある!」」」」」」
おぉ見事に声がそろった。少し感動・・・
「ならばもう話す必要はなかろう・・・」

村松は銃の引き金に手を掛けた。

パァーン
倉庫に乾いた銃声が響き渡った・・・
あとがきという名の言い訳
はい。授業無視して製作。はっきし言ってセリフがね・・・後半ね・・・ボロボロなんですよ・・・気づく人は気づくだろう。
No.002引っ張りだしてごめんなさいね。でもまぁこんな感じになりました。
最後の銃の引き金を引いたのは村松?黒乃?002?それとも七翔?
それは次のハガル氏次第・・・

最後に最後まで駄作になってしまった事をお詫び申し上げますm(__)m
by十九世紀末のJ