第三話 ブルーな一日
・・ンカ〜ンコ〜ン
「うぅ・・・ここは・・・」
俺はチャイムの音で目が覚める。
「俺は・・・確か・・・変な奴らに投げられて・・・」
手や足を動かし自分が生きていることを確認する。
「生きてるよ・・・俺・・・」

辺りを見回す、そこには見慣れた建物や噴水、ベンチがあった。
「学園・・・か・・・」
んー!と背伸びをし、パンッ!パンッ!と土ほこりを叩き落とす。
「あー、服がボロボロだよ・・・結構気にいってたのになぁ・・・」
キーンコーンカーンコーン
再びチャイムがなる。

「・・・はっ!今何時だ!?」
中庭にある大きな古時計を見る。

7時55分

「やべえええぇ!夕飯に間に合わねええええ」
YS学園は全寮制となっており基本的には朝晩の食事は食堂で、昼は食堂と中庭で食べることができる。

「着替える・・・なんて暇はないな」
猛然と食堂のみを目指し走る。
その反動で足を前に出す度にボロボロになった衣服が徐々に散っていく。

そして、残り時間1分弱、距離約500m
ラストスパートをかける、タケシの足ならギリギリで間に合うだろう。

あいつさえ突破できれば・・・

「廊下を走るな〜〜〜〜!!止まれ〜〜〜!」
聞きなれた怒声、その手には工事現場などでよく見る赤く光る棒。
タケシはスピードを緩めることなく突っ込んでくる。
「止まれって言ってるだろ〜〜〜〜!」
一本足打法の構えをし、思いっきり振りかぶる。
バキィ〜ン!!
「がぁべし」
下っ腹に当たりその衝撃で赤い棒は砕け散った。

「はい♪アウト〜」
「アウトじゃねええ、まだ間に合う!夕飯が俺を待ってるんだ!昼飯も食べてないんだ!頼むマキノ行かせてくれ!!」
目を血眼にしてマキノの肩をガクガク揺さぶりながら頼む。
「あのねぇ・・・」
はぁ、とため息をつきながらタケシと距離をとり右手に村正(改)を掴む。
走り出すのと同時に村正ブースターを作動させる。
「パンツ一枚で食堂に入れると思ってんのか〜〜〜〜〜!」

顔面に向けてとび蹴りが入る。
「ぴゅみきゅ」
そうして食堂の扉が閉められていく・・・ガシャン



青白い顔に靴型に赤くなった所を摩りながらトボトボと自分が撒き散らした服の残骸を回収しながら部屋に戻る。

ぐぅうううぅ
「あぁ腹減ったああああ」
明日から部屋にカップラーメンを常備することを心に誓った。


トントン
テレビを見ているとノックの音が飛び込んだ。
「タケシいるー?」
「タケシ君はいませーん」
「じゃぁおまえ誰だよ!」
ドカッと扉を開け入ってくる。

「はいこれ、お昼から食べてないんでしょ?」
おにぎりらしき物体を2個差し出される。
「うおおおおおお!白米いいいいい!ありがとう!!」
「か、勘違いしないでよねっ!ついでなんだからね!」
と一枚の封筒を手渡す。
「夕食が終わったあと担任の先生から渡されたから届けに来ただけなんだからね!じゃぁね!」
バタンと扉を閉める。

マキノが外に出ると偶然クラスメイトの友人が通りかかった。
「マキノ〜あんた偉いね〜」
「え?何が?」
「タケシ宛ての手紙をわざわざ立候補してまで持って行くなんてねぇ♪」
「う、うう、うるさ〜い!!ちょうどタケシに用があったからついでよ!つ・い・で!しかも私は風紀委員だから!」
「はいはい、わかったわかった」

そのころタケシはおにぎりを食べていた。
「なんだよ、また呼び出しか?それとも・・・・請求書かな・・・」
おにぎりを片手に恐る恐る文面を見る。

『翌朝8時30分に学園長室まで・・・』

「んん!!」
顔が真っ青になりトイレに直行する。
「何でおにぎりの中身にブルーベリーが・・・・」
by剿骭