拝啓
学園長様
貴方が危惧していた魔王はもう復活していたようです。
何故ならマキノこそ魔王だと思うから……
第六話 三面六手の鬼神の降臨
豪快な破壊音と共に図書室の壁が吹き飛んでいく、そして何故か黒光りしている鉄球が俺の体を捕らえた。
「へばぁっ!」
動かない体が華麗なる月面三回転半ひねり(着地失敗)を決める。
「こらぁぁっ!私を置いて何してんのよっ!」
マキノの声が俺の頭上から聞こえる。
「申し訳ないが今俺は彼女の魔具の為動けん。回収よろしく。」
それに気のせいか知らないが体から赤いモノがドクドク流れている気がこれをなんて言うんだっけ……そうだっ!
Nice boat
えっ?違うの?もういいよ。パトラッシュ、なんだかとても眠いんだ……(暗転)タケシが意識を失うと同時にマキノのもつ『村正(改)』がユイに向かう。本に何かを記入するユイ。すると気を失ったタケシが起き上がり『村正(改)』の餌食になる。
再びタケシは宙に舞った。
「へぇそれがあんたの魔具。おもしろい力をもっているじゃない。」
すぎのユイの持つ魔具の能力に気づいたマキノ。
ユイはページを何枚か捲るとまた記入を始めようとする。
「させるかぁぁぁぁ!」
『村正(改)』はものの見事にユイのシャーペンを捕らえる。
「このシャーペンお気に入りだったのに……」
「ふふふっ。粉微塵よっ!」
このマキノの声が若○ボイスじゃないのが非常に残念。
「さぁ大人しくその魔具をこの風紀委員のマキノに渡しなさいっ!」
理不尽すぎる要求である。ユイちらりと
「マキノさんって……ツンデレなんですね。」
ユイの言葉と同時にボッと火を噴いたようにマキノの顔が紅くなる。
「な、な、何言ってるのっ!あんた」
「だってほら……」
「……あんた。それを渡すか渡したちに協力しなさい。さもないと……」
ユイの顔が恐怖に歪む。
そして後にユイは語る。
『マキノさんの三面六手の鬼神が見えました』と……
体が痛いそんなことは日常茶飯事だからいいのだがリアルで痛い。というよりも現在進行形で体が蹴られている。
「何すんじゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
「うっさいわねっ!あんたの代わりに彼女を説得したのに。」
マキノの後ろにはユイがいた。
「マジでかっ!?どうやって」
「こ・う・しょ・う♪」
その”交渉”とやらが物凄く怖いのだが。ユイがガクガクブルブル震えてる。そのユイが小動物みたいでときめいたのは内緒だぜっ!マキノについては深くは言わないでおこう死にたくないから。
「で、
「特になし。まぁ彼女を引き込めただけでも収穫はあったんだし。」
「早々何人も簡単には見つからないって言うことか……。まっ!いいか。」
そういって『村正(改)』を振り回しながら去っていくマキノ。
「まぁそのなんだ。よろしくな。」
ユイに声を掛ける。
はにかむような笑顔を浮かべハイと返事をくれた。
そして去り際に一言気になる言葉を残して……
「タケシ君ご愁傷様です。これからも頑張ってくださいね。いろんな意味で」
ちょとっまてなんだその意味深な言葉は……
そして彼女の言葉の真意を問う為に歩いていくユイの背を追った。
byJTR