少女は横たわる竜を抱いてうつむき、しゃがみこんだ。
そんな少女にマキノは足早かつ大またで近づき仁王立ちのまま少女を見下ろし右手を伸ばす。
「さぁ早く
少女は一瞬マキノを見るが、再びうつむく。
「あれぇ?き、聞こえなかったのかなぁ?それじゃ、もっと分かりやすく言うね。」
マキノは少女の前に引きつった笑みを浮かべながらしゃがみ右腕に村正(改)を担ぎ、左腕を伸ばしグーとパーを繰り返す。
「よ・こ・せ(ハート)」
その姿はまるで『鉄鋼乙女・特攻隊長
「!!!」
少女はマキノを見た瞬間に2〜3歩後ろに飛び距離をとった。
「あ、レヴァ!!」
その慌てようは思わず竜を手離してしまうほどだった。
「ちょっと・・・あんたねぇ・・・」
「まぁまぁ、魔鬼・・・マキノ落ち着けって、相手は少し目つき悪いけど子供なんだからさぁもう少し言い方ってものが・・・」
「何言ってんのよ!落ち着けるわけないでしょ!」
「・・・くっそ、白パン女め」
少女が始めての反応を示したが声が小さく聞き取りにくかったがタケシだけには聞こえたらしく、ここぞとばかりに最大級の笑顔(と言うかデレデレ顔)を少女に向けた。
「ん!?今、何て言ったのかなぁ?もう一度大きな声で・・・」
「おまえ、きもい」
「「「・・・ぷっ!あはは!!」」」
マキノ、トウヤ、ユイは笑いをこらえたが敗北。
タケシは一瞬固まりそのあとすぐ少女に背中を向け空を仰いだ。
「ちょ、ちょっと、あ、あんた泣いてんの?」
マキノは涙目をこすりながらタケシの顔を覗き込む。
「いや!泣いてなんか・・・ないぞ、こ、これは・・・目が汗をかいてるだけだ!そ、そんなことよりぃ!」
タケシはトウヤを指差す。
「トウヤ!おまえも突っ立って笑ってないで協力しろよ!」
「あはは・・・はぁ・・・えぇ?・・・ぼ、僕?・・・」
「うだうだ言ってないでささっと・・・」
そうやって3人が話している隙に少女は竜へと手を伸ばしかけていたその時だった。
「!!あの、みなさん!あれ!!」
ユイが叫び指差す方を見るとブラックホールのようなものが表れ、黒いスライム状のものが少女を徐々に飲み込んでいた。
「ちょ、ちょっと!や、いやぁぁ!こ、こんなの聞いて・・・っ!レヴァ!レヴァァァ!」
少女は叫び竜に手を伸ばすが届かない。
「え!?何?何なの?」
「な、何じゃありゃ!?」
少女の叫び声に振り向いたタケシとマキノはその異様な様子をただ見ていた。
だが、トウヤはいつの間にか刀を手に取り走り出していた。
「はああああ」
大きく振り上げ方を振り下ろして斬ったものは・・・・。