人を救うのが英雄?
人に希望を与えるのが勇者?
それじゃぁ人に絶望を
恐怖を与えるのが魔王?
第二十九話 魔王の胎動
ユイによって助けられたタケシとマキノ。
タケシは差し出された手を握り立ち上がる、
「ちょっとアンタ動いて大丈夫なの?」
マキノはタケシとユイの元に近づく。その言葉にユイは笑みを浮かべながら
「えぇ。万全とは言い難いですがお二人のお手伝いをする程度は問題はありませんよ」
確かにユイの姿は万全ではない。その姿を見てタケシ視線を落とす。
(この眼帯も・・・この松葉杖も・・・全部俺がやったんだ・・・)
自分の『罪』とも呼べるものがタケシの前にはあった。
「あの・・・さ・・・」
タケシはユイに対し口を開く。
言い訳と思われてもいい嫌悪されてもいい。
それでも言いたかった。
『ごめん』
『血の十字架 にそんな力があるなんて知らなかった』
自分の行動への贖罪。懺悔。そんなことをした所で変わらないのは判っている。だがせずには居られない。
タケシが何を言おうとしてるのかを悟ったユイは笑顔を浮かべ言葉をタケシよりも先に紡ぐ。
「謝らないでください。」
「えっ?」
ユイの言葉にあっけにとられるタケシ。
「確かに片目の光は失いました。体も今はこんな感じではありますがいずれは治ります。」
そう言って自分の手にある新しい本を見つめる。父と母から受け継いだ新しい『本 』を。
「タケシ君が謝る必要なんて無いんですよ?」
「だけどよ・・・」
納得のいかない表情を浮かべるタケシをユイはやれやれと言った表情で言葉を続ける。
「何か罪が欲しいならあげます。そうですね?『これからもあなたは私の友達で居てください』これがあなたへの罰です。」
「へっ?」
意外な言葉にぽかんとした表情を浮かべるタケシ。
「意図的ではないにしろ、『自分が大怪我を負わせた相手と嫌でも友達で居なきゃいけない。』これほどの罰は無いと思いますよ?」
その言葉にタケシは全てを悟る。
(あぁ・・・ユイは全てを知っている。全てを知った上で俺を『友達』と読んでくれるんだ。)
不意に目に熱いモノがこみ上げてくる。それをこぼれ落ちないようにするので必死だった。
「それよりも早く学園長の所に行くわよっ!」
今にも走り出しそうなマキノが二人に声を掛ける。
「えぇ。あの人の所に行って見ない事には始まりませんから。」
「よっしゃっ!行くか!」
タケシとユイがマキノの言葉に同意を示す。
「でタケシ。あんたユイの事おんぶしなさいっ!」
「なぜにっ!?」
「松葉杖ついてる奴に合わせて動いてたら日が暮れるわっ!だからアンタが背負って走るの」
その言葉に怪我の原因を作った張本人としては逆らうことの出来ないタケシとマキノに逆らったら恐ろしい目に合うのは目に見えているユイは仕方なくおんぶで移動となり三人は学園長室に向かった。
その三人を見ていたシュウヤ。
(学園長室に俺も行って見るか・・・。面白いものが見れるかも知れない。)
シュウヤもその場を立ち去り三人を追った。
―学園長室前
「さぁ。行くわよっ!」
その声と共に村正(改)で学園長室の扉を壊す。
突っ込みを入れたら負けな事をタケシとユイは知っているから何も言わない。
「たのもーーーっ!!・・・・・・・あれ?」
意気揚々と部屋の入った途端気の抜けた声を上げるマキノ。あとから続いたタケシとユイもその声の理由に気づく。
「誰も・・・」
「居ない・・・?」
三人の目の前にはもぬけの殻となった学園長室。
「遅かった・・・か・・・」
三人とは違うまったく別の声。振り向くとそこにいたのは。
「シュウヤの兄貴っ!?」
「お兄ちゃんっ!?」
槇野シュウヤその人である。
「やぁタケシに我が妹よ。」
そう言って軽く三人に向かって手を上げるシュウヤ。そしてもぬけの殻の学園長の席を見て真剣な表情を浮かべる。
「どうやら事態は最悪の方向に向かってるようだね。しかたない三人には話すよ。春夏秋冬神の本当の目的を・・・」
その言葉と表情に三人も真剣な表情で彼を見た。
場所は変わり町のとある場所。
そこに誰にも知られていない会社があった。その名は『ラグド商会』
その一部屋。そこに居るのは床に伏せた男とそれを見下す男。見下す男の手には赤い宝石が不気味に輝く十字架型のペンダントがあった。
「ぐ・・・私の部下はどうしたんです・・・」
「あぁ。ここに来るまでにすれ違ったゴミのことか?『消したよ』文字道理にな」
「そこまで・・・その力が欲しいのですかっ!春夏秋冬っ!」
ひと時は見下すことはやめずリーに近づく春夏秋冬。
「皮肉なものだな。リー。『悪と思われようと誰かに恨まれようと悪をなして世界を救う』それがお前の心情だろうに・・・。ゆえに魔具の適格者を誘拐まがいで連れてきては『魔具に関する記憶』だけ消しただの一般人として生活させ、魔具を回収し、それを永久封印し二度と世に出回らないようにする。それがお前の真の目的なのだからな。」
その言葉に悔しそうな表情を浮かべ、リーは答える。
「あなたはあの時から何一つ変わっていない。魔王の力に魅せられ、友を仲間を裏切ったあの時から何一つっ!」
「仲間?あぁ『佐藤』に『姫井』に『槇野』にあと誰かいた気がするが思い出したくもないがな。あぁ・・・あとお前もだなリー」
鼻で嘲笑い全てを見下した表情は変えることはない。
「それとリー。君は間違ってる。力に魅せられたのは『悪』ではない。善悪など後の人間が勝手に決めること。魔王だからと悪と決めるのは間違っている。戦いに置いてあるのは『中立』。その戦いの勝者が『善』となり。敗者が『悪』となる。それが戦いにおけるロジックだろうに何を言う。あの時は紙一重で私は負けた。しかし、今度は違う。邪魔者はいない。『魔王の力』のみを制御するすべも得た。全ては私の手中だよ。」
地に伏せるリーの元にしゃがみ込む春夏秋冬。
「さらばだ。リー。君はよき友だったよ。」
リーに向かい何か魔具を使う春夏秋冬。その使用時の光のようなものが収まったとき、そこにリーの姿はなく春夏秋冬が残っていただけだった。
「『恐怖』こそ人を縛る最高の鎖。さぁ行こう『血の十字架 』。貴様と『力』と私の『知』。二つが合わせれば王と言う器を脱し、神の称号を得るのだ。くっくっくっ・・・あーはっはっはっ!!」
響くのは春夏秋冬の笑い声だけだった。
タケシは差し出された手を握り立ち上がる、
「ちょっとアンタ動いて大丈夫なの?」
マキノはタケシとユイの元に近づく。その言葉にユイは笑みを浮かべながら
「えぇ。万全とは言い難いですがお二人のお手伝いをする程度は問題はありませんよ」
確かにユイの姿は万全ではない。その姿を見てタケシ視線を落とす。
(この眼帯も・・・この松葉杖も・・・全部俺がやったんだ・・・)
自分の『罪』とも呼べるものがタケシの前にはあった。
「あの・・・さ・・・」
タケシはユイに対し口を開く。
言い訳と思われてもいい嫌悪されてもいい。
それでも言いたかった。
『ごめん』
『
自分の行動への贖罪。懺悔。そんなことをした所で変わらないのは判っている。だがせずには居られない。
タケシが何を言おうとしてるのかを悟ったユイは笑顔を浮かべ言葉をタケシよりも先に紡ぐ。
「謝らないでください。」
「えっ?」
ユイの言葉にあっけにとられるタケシ。
「確かに片目の光は失いました。体も今はこんな感じではありますがいずれは治ります。」
そう言って自分の手にある新しい本を見つめる。父と母から受け継いだ新しい『
「タケシ君が謝る必要なんて無いんですよ?」
「だけどよ・・・」
納得のいかない表情を浮かべるタケシをユイはやれやれと言った表情で言葉を続ける。
「何か罪が欲しいならあげます。そうですね?『これからもあなたは私の友達で居てください』これがあなたへの罰です。」
「へっ?」
意外な言葉にぽかんとした表情を浮かべるタケシ。
「意図的ではないにしろ、『自分が大怪我を負わせた相手と嫌でも友達で居なきゃいけない。』これほどの罰は無いと思いますよ?」
その言葉にタケシは全てを悟る。
(あぁ・・・ユイは全てを知っている。全てを知った上で俺を『友達』と読んでくれるんだ。)
不意に目に熱いモノがこみ上げてくる。それをこぼれ落ちないようにするので必死だった。
「それよりも早く学園長の所に行くわよっ!」
今にも走り出しそうなマキノが二人に声を掛ける。
「えぇ。あの人の所に行って見ない事には始まりませんから。」
「よっしゃっ!行くか!」
タケシとユイがマキノの言葉に同意を示す。
「でタケシ。あんたユイの事おんぶしなさいっ!」
「なぜにっ!?」
「松葉杖ついてる奴に合わせて動いてたら日が暮れるわっ!だからアンタが背負って走るの」
その言葉に怪我の原因を作った張本人としては逆らうことの出来ないタケシとマキノに逆らったら恐ろしい目に合うのは目に見えているユイは仕方なくおんぶで移動となり三人は学園長室に向かった。
その三人を見ていたシュウヤ。
(学園長室に俺も行って見るか・・・。面白いものが見れるかも知れない。)
シュウヤもその場を立ち去り三人を追った。
―学園長室前
「さぁ。行くわよっ!」
その声と共に村正(改)で学園長室の扉を壊す。
突っ込みを入れたら負けな事をタケシとユイは知っているから何も言わない。
「たのもーーーっ!!・・・・・・・あれ?」
意気揚々と部屋の入った途端気の抜けた声を上げるマキノ。あとから続いたタケシとユイもその声の理由に気づく。
「誰も・・・」
「居ない・・・?」
三人の目の前にはもぬけの殻となった学園長室。
「遅かった・・・か・・・」
三人とは違うまったく別の声。振り向くとそこにいたのは。
「シュウヤの兄貴っ!?」
「お兄ちゃんっ!?」
槇野シュウヤその人である。
「やぁタケシに我が妹よ。」
そう言って軽く三人に向かって手を上げるシュウヤ。そしてもぬけの殻の学園長の席を見て真剣な表情を浮かべる。
「どうやら事態は最悪の方向に向かってるようだね。しかたない三人には話すよ。春夏秋冬神の本当の目的を・・・」
その言葉と表情に三人も真剣な表情で彼を見た。
場所は変わり町のとある場所。
そこに誰にも知られていない会社があった。その名は『ラグド商会』
その一部屋。そこに居るのは床に伏せた男とそれを見下す男。見下す男の手には赤い宝石が不気味に輝く十字架型のペンダントがあった。
「ぐ・・・私の部下はどうしたんです・・・」
「あぁ。ここに来るまでにすれ違ったゴミのことか?『消したよ』文字道理にな」
「そこまで・・・その力が欲しいのですかっ!春夏秋冬っ!」
ひと時は見下すことはやめずリーに近づく春夏秋冬。
「皮肉なものだな。リー。『悪と思われようと誰かに恨まれようと悪をなして世界を救う』それがお前の心情だろうに・・・。ゆえに魔具の適格者を誘拐まがいで連れてきては『魔具に関する記憶』だけ消しただの一般人として生活させ、魔具を回収し、それを永久封印し二度と世に出回らないようにする。それがお前の真の目的なのだからな。」
その言葉に悔しそうな表情を浮かべ、リーは答える。
「あなたはあの時から何一つ変わっていない。魔王の力に魅せられ、友を仲間を裏切ったあの時から何一つっ!」
「仲間?あぁ『佐藤』に『姫井』に『槇野』にあと誰かいた気がするが思い出したくもないがな。あぁ・・・あとお前もだなリー」
鼻で嘲笑い全てを見下した表情は変えることはない。
「それとリー。君は間違ってる。力に魅せられたのは『悪』ではない。善悪など後の人間が勝手に決めること。魔王だからと悪と決めるのは間違っている。戦いに置いてあるのは『中立』。その戦いの勝者が『善』となり。敗者が『悪』となる。それが戦いにおけるロジックだろうに何を言う。あの時は紙一重で私は負けた。しかし、今度は違う。邪魔者はいない。『魔王の力』のみを制御するすべも得た。全ては私の手中だよ。」
地に伏せるリーの元にしゃがみ込む春夏秋冬。
「さらばだ。リー。君はよき友だったよ。」
リーに向かい何か魔具を使う春夏秋冬。その使用時の光のようなものが収まったとき、そこにリーの姿はなく春夏秋冬が残っていただけだった。
「『恐怖』こそ人を縛る最高の鎖。さぁ行こう『
響くのは春夏秋冬の笑い声だけだった。
あとがき
はいやっちゃいました。
ラグド悪役フラグぽっきり破壊。
その代わり学園長完全悪役フラグ立てました。
自分の中では改心の出来です。
ラストスパート走り抜けるぞぉぉぉぉ!!
はいやっちゃいました。
ラグド悪役フラグぽっきり破壊。
その代わり学園長完全悪役フラグ立てました。
自分の中では改心の出来です。
ラストスパート走り抜けるぞぉぉぉぉ!!
byJTR